神経特異エノラーゼ(NSE)は胸部大動脈手術後の脊髄障害早期発見の予測因子としての有用性の検討が本研究の目的である。計46例の胸部大動脈ステントグラフト内挿術施行患者の検体を採取して解析を行った。脊髄虚血を発症しなかった群の血清NSE値(ngの推移は、術翌日に最高値をとり、その後低下して術前値まで低下する傾向が見られたが、有意差はみられなかった。一方、脊髄障害の有無によるNSEピーク値は、脊髄障害なし18.0±7.8ng/mlに対して脊髄障害ありでは、34.2±15.4mg/mlと有意に高い値を示した。このことからNSE値は胸部大動脈手術後脊髄障害の予測因子となる可能性が示唆された。
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