研究課題
ステントグラフト内挿術(EVER)は大動脈瘤(AAA)に対する低侵襲な治療法であるが、遠隔期に瘤径が拡大する症例が散見される。我々はステントグラフト留置後の追加手術時の検体の病理学的解析によって、壁の菲薄化を特徴とした瘤壁の構造変化を「stent-graft induced aortopathy(SGIA)」として報告してきたが、その詳細な病理学的背景は明らかになっていない。本研究は、位相差X線CT法によって大動脈瘤壁の密度解析や分子構造解析を行い、病理組織学的解析と符合させることでSGIAの詳細を示し、ステントグラフト留置という侵襲に対する生体反応を病理学的に明らかにすることを目的としている。XPCT(放射光位相差X線CT法)による解析を実施。EVAR後SGIA症例の開腹手術において大動脈壁を採取し、ホルマリン固定後、XPCTを用いた撮像を行った。比較対象として、通常の手術で得られた大動脈瘤(AAA)壁および剖検から得られた正常大動脈壁を使用した。解析対象は、SGIA例、通常AAA壁、正常大動脈壁群の3群であり、それぞれにおいてXPCT撮影し密度解析も実施した。密度解析を行いSGIA例での有意な大動脈壁の密度低下、菲薄化を認めた。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Journal fo Vascular Surgery - Vascular Science
巻: 4 ページ: 1-11
10.1016/j.jvssci.2023.100123