本研究では、筋芽細胞シート移植を実施した拡張型心筋症患者から治療前に採取した筋芽細胞を用いてiPS細胞を作製し、筋芽細胞シート移植後に顕著な改善が認められた症例と認められなかった症例を比較することで、筋芽細胞シート治療の治療応答に関連する因子を明らかにすることを目的とした。各群の患者の筋芽細胞からiPS細胞の樹立に成功し、これらのiPS細胞から心筋細胞に分化誘導することが可能であることを確認した。次に、分化誘導した心筋細胞の特性解析を行ったところ、両群において拡張型心筋症様の病態を示す傾向がみとめられた。またこれらに対し、筋芽細胞シートを模した筋芽細胞の培養上清を反応させたところ、両群で異なる収縮特性を示す傾向がみとめられ、in vitroで治療応答効果を再現できる可能性を示唆した。
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