研究課題/領域番号 |
21K08843
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
築部 卓郎 神戸大学, 医学研究科, 非常勤講師 (50304100)
|
研究分担者 |
星野 真人 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 分光推進室, 主幹研究員 (30508461)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 僧帽弁腱索 / 位相差X線CT法 / 膠原繊維 / Tenomoduline / 僧帽弁閉鎖不全症 |
研究実績の概要 |
本研究の最終目的は、心不全の主原因である僧帽弁閉鎖不全症をはじめとする心構造疾患の発症メカニズムを解明し、手術を含めた最適な治療法を解明する事にある。大型加速器(サイクロトロン)で得られる放射光を利用した位相差X線CT法による非破壊検査にて僧帽弁弁下組織・時に僧帽弁腱索の分子構造異常を解析し、僧帽弁腱索変性の機序を明らかとすることを2021年度に引き続いて2022年度の期間内の目標としています。 SPring-8の中尺ビームライン実験施設の20B2ビームラインから得られる放射光の先端に、Talbot 型干渉計位相差CT撮影装置を設置し、放射光を利用した位相差画像を検出しています。測定機器および条件については、術中採取されたヒト僧帽弁腱索をアガロースゲル内に固定あるいは生理食塩水に浸し、180度回転する間に900投影の撮影を行った。測定後、標本の病理組織学的解析を行いました。具体的には標本を切り出し、連続切片の作成、Elastica van Gieson染色、Sirius-red染色、Alcian blue染色、並びに免疫染色(Anti-CD31, Anti-αSmooth muscle actin)を行い、病理顕微鏡的観察および3次元立体再構築を行い、さらにTenomodulinによる免疫染色を行い腱索内でのTenomodulinと位相差X線CT所見とを比較しています。 X線CT測定データ解析は、画像処理・解析ソフトを用いて壁構造を立体再構成し画像解析を行った。そして、同一検体の組織切片標本によるミクロ病理画像と比較し、分子構造異常と従来の組織との符合性を確認することが可能でありました。 研究成果)成果は2022年5月米国胸部外科学会AATS Mitral Conclave2022で口演発表を行っています。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度はSPring-8の中尺ビームライン実験施設の20B2 ビームラインから得られる放射光を利用した位相差画像を用い、僧帽弁閉鎖不全症に対する手術中に採取された腱索6検体、剖検から頂いた12本の腱索検体を用い、位相差エックス線CT法による計測を行い、その後 病理学的な解析を行いました。染色法はHE, Sirius Red,およびTermodulin抗体で行っています。その結果、3次元的にlow-densityにみられる腱索の部位に一致したSirius redでの膠原繊維の組成の違いやTermodulin up-regulationがみられています。本成果の一部を国際学会で応援発表するとともに、現在 論文作成を行っておりおおむね順調に進展していると考えています。
|
今後の研究の推進方策 |
2023度は2021年度および2022年度と同一の研究内容の推進し、誌上発表の準備を行っています。 さらに、位相差エックス線で得られた密度変化をもとに、他の臨床応用しえるデバイスを用いた術中の腱索機能の評価について、高周波超音波プローべを用い行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2023年度に、位相差エックス線CT法を用い引き続き計測を予定しており、そのデータ分析のためのコンピューターの購入、消耗品(ヘリウムガスなど)、研究設備の使用料、論文投稿にかかる費用に用いる予定である。
|