研究実績の概要 |
われわれは脂肪幹細胞(Adipose Derived Stem Cells: ADSC)を用いた研究をおこない、心筋梗塞後の心不全に対する心機能改善効果について報告してきた。マイクロアレイ発言解析を用いた網羅的検索から、ADSCの新機能改善に関与する血管新生因子として分泌タンパク質である Esm1, Stc1, Ccbe1, Bng8 が関与している可能性が明らかとなった。 本年度は、4つの候補タンパク質の中から特に効果のあるものを絞り込むことを目的に、昨年度に引き続きin vitro assayをおこなった。HUVECを用いたtube formation assayを用いて、候補分泌タンパク質の直接添加による血管新生促進効果を検討した。この結果、4腫の候補タンパク質のうち、Stc1の血管新生作用が特に強いことを見出した。次に、siRNAによりStc1の分泌をノックダウンしたADSCを作成し、これの培養上清を用いると血管新生効果が著しく低下することを確認した。 今後、ラット心筋梗塞モデルを作詞し、siRNAによるStc1ノックダウンADSCシートと通常のADSCシートの心機能改善効果を比較する。さらにStc1を乳酸・グリコール酸共重合体にして封入した徐放性マイクロスフェアを作成し、これを添加したゼラチンシートを作成する。その上で、ラット心筋梗塞モデルを用いて、ADSCシートとStc1徐放ゼラチンシート、それぞれの新機能改善効果を比較する予定であったが、主任研究者の研究機関以外への異動のため、ここで廃止となった。
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