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2022 年度 実施状況報告書

大動脈瘤器質化血栓の特異な形成機序:線溶異常の観点から

研究課題

研究課題/領域番号 21K08858
研究機関浜松医科大学

研究代表者

田中 宏樹  浜松医科大学, 医学部, 特任研究員 (50456563)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード腹部大動脈瘤 / 器質化血栓 / Xa阻害薬
研究実績の概要

腹部大動脈瘤(AAA)は、高齢男性に好発する疾患であるが、血管内治療の普及によって、治療成績の向上は著しい。しかしながら、未だに詳細な病態機序は不明なため、瘤径の拡大(破裂率の上昇)を低減する薬物療法は確立されていない。これまでの研究成果から、壁在血栓の増大は、瘤径の拡大・破裂率の上昇に影響を及ぼしていることは臨床調査から示唆されているが、AAAと壁在血栓に関する病態機序を明らかにしようとする報告は極めて少ない。AAAの器質化する壁在血栓の形成機序を解明できれば、外科手術以外の治療法として、すなわち薬物治療の介入を進められる可能性は高いと考えている。本研究ではAAA壁在血栓の形成機を“線溶機構の異常”という観点から解析する。既存の血栓形成を抑制するとされる種々の線溶系に作用する薬剤が、AAA壁在血栓の形成を抑制しうるか、複数のAAAのモデル動物を利用し検証する。当年は、壁在血栓を有するAAAモデル動物に、線溶系薬剤を投与しAAAに影響するか検証した。
実臨床では壁在血栓を伴った状況下で疾患は発見されることが多く、より臨床に近い状態
で薬剤の有用性、血栓増大を制御することによるAAA進展の抑制効果を検証すべきであると考えてきた。
我々の開発したモデルはヒト器質化した壁在血栓に類似したモデルであることを報告しており、そのモデル動物を作成し実験を施行した。超音波検査にて、瘤化と壁在血栓の存在が確認できた術後7日目より種々の線溶異常を改善しうる薬剤投与を開始し、術後14日まで連続投与とした。
薬剤は、トロンビン産生あるいは活性を抑制する活性化凝固X(FXa) 阻害薬とした。解析項目は器質化血栓形成の大きさと、瘤径を経時的に測定した。
術後14日までに、投与群と非投与群を比較すると、血栓の大きさは減少し、瘤径の縮小も判明した。しかし、破裂頻度に有意差は見られなかった。FXa阻害薬は、瘤径拡大の減少に導くと期待している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

器質化血栓形成の抑制が、瘤径拡大の減少と破裂率の低下に導くと仮説立て、薬剤投与によるモデル動物実験を計画した。使用する薬剤、TAFIa阻害薬、TAFIの活性化に必要なトロンビン産生あるいは活性を抑制する活性化凝固X(FXa) 阻害薬および抗トロンビン薬を候補とし、複数種の薬剤投与を計画したが、現在1種のみによる結果しか得られていない。

今後の研究の推進方策

壁在血栓を有するAAAモデル動物に、線溶系薬剤を投与しAAAに影響するか検証を、他のTAFIa阻害薬、TAFIの活性化に必要なトロンビン産生あるいは活性を抑制する活性化凝固X(FXa) 阻害薬および抗トロンビン薬を投与して実験を継続する。
血栓形成の抑制機構について、詳細な分子病態の解析が大きな課題となるだろう。血栓溶解の制御機構を長く解析しており、特にTAFI およびPAI-1 の役割の解析で世界をリードしている研究協力者らに相談し、目標を遂行できるよう尽力する。

次年度使用額が生じた理由

予定していた学会参加、講演などコロナ禍の影響で不参加となった。
また体調不良期間が続き、計画通りに実験が遂行できなかったため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Characteristic distribution of eicosapentaenoic acid in human abdominal aortic aneurysm wall2022

    • 著者名/発表者名
      Kugo Hirona、Tanaka Hiroki、Moriyama Tatsuya、Zaima Nobuhiro
    • 雑誌名

      Journal of Lipid Research

      巻: 63 ページ: 100200~100200

    • DOI

      10.1016/j.jlr.2022.100200

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2023-12-25  

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