研究課題/領域番号 |
21K08867
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
末廣 晃太郎 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (10569312)
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研究分担者 |
上野 耕司 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (30736070)
濱野 公一 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60263787)
溝口 高弘 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (90844796)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自家細胞解析 |
研究実績の概要 |
本研究は、臨床研究「難治性皮膚潰瘍に対する培養ヒト自己細胞混合シートを用いた移植治療に関する臨床試験(第Ⅰ相試験)(jRCTb060190034)」(AJTR2021;13:9495-9504)で採取した患者線維芽細胞と患者自己血清を解析することを目的にしている。 上記臨床研究では、6名の患者が登録されたが、1名の患者線維芽細胞は樹立出来なかった為に、6名の患者自己血清と5名の患者細胞が保管されている。 臨床研究時に、保管された線維芽細胞を解凍し、血清としてNeoSERAを使用して、その倍加時間を確認したところ、5名の患者線維芽細胞の倍加時間は、51時間以上であった。細胞の形態としては紡錘形を維持しているようであった。 5名の患者細胞が保管されているが、臨床研究時には、3名の患者細胞は移植され、残りの2名の患者細胞は移植されなかった。その理由としては、細胞シートの製造工程の規格試験である、細胞シートが分泌するVEGF量の規定値を超えた場合は、細胞シートは移植されたが、規定値を超えない場合は、細胞シート移植は実施されなかった為である。そのため、再度、患者細胞におけるVEGFの発現レベルをqPCRで解析したところ、自己血清ではなくNeoSERAで培養したにもかかわらず、細胞シート移植が実施されなかった患者2名の細胞におけるVEGFの発現レベルは、細胞シート移植が実施された患者3名の細胞におけるVEGFの発現レベルよりも低い結果を得た。また、同じサンプルで、Collagen IおよびCollagen IIIの発現レベルをqPCRで解析すると、細胞シート移植が実施されなかった患者2名の細胞におけるCollagen IおよびCollagen IIIの発現レベルは、細胞シート移植が実施された患者3名の細胞におけるCollagen IおよびCollagen IIIの発現レベルよりも低い結果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者の自己血清ではなく、NeoSERAで培養したにもかかわらず、臨床研究時に移植できた細胞と移植出来なかった細胞において、移植出来なかった細胞におけるVEGF、Collagen I、Collagen IIIの発現レベルは、移植できた細胞よりも低い結果を得ることが出来た為。この結果は、自家細胞移植では、細胞の機能が落ちている患者を事前に検査する必要があるかもしれないことを示唆している。
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今後の研究の推進方策 |
患者由来の血清を解析することで、細胞移植が出来た患者と細胞移植が出来なかった患者において、濃度が異なるサイトカイン、成長因子等が存在するか否か検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬の納品金額を抑えることが出来たために、若干の次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、物品費として使用する。
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