今年度は、C57BL/6マウスを使用したマウス臀筋虚血モデルの作製を試みた。 前年度は、BALB/Cマウスの腹部大動脈から分岐して直ぐの右の腸骨動脈を結紮することで、足底、大腿部、臀部の血流低下を確認した為、今年度は、C57BL/6マウスの右内腸骨動脈を結紮することによる血流低下を検証した。C57BL/6マウスの右内腸骨動脈を結紮し、ドップラーにより血流を評価したが、血流低下を確認することは出来なかった。このドップラーによる血流評価直後に、右内腸骨動脈および右外腸骨動脈の分岐上流箇所で結紮したところ、ドップラーにより血流低下を確認した。右内腸骨動脈および右外腸骨動脈の分岐上流箇所で結紮して4週間後に、大腿部の組織を病理学的に観察したところ、結紮部位の直下とその周辺の筋組織のみがダメージを受けているようであった。 本研究では、マウス臀筋虚血モデルの作製を試みたが、臀筋虚血が得られた可能性があるのは、BALB/Cマウスの腸骨動脈を結紮した場合であった。この時、結紮直後の臀部の血流は15~30%程度低下したが、この血流低下は、4週間後も維持されていた。また、結紮直後の大腿部の血流は80%程度低下したが、この血流低下は、4週間後も維持されていた。これらの結果は、マウスでの臀筋虚血を作製するために、上流の動脈を結紮する必要があることを示唆している可能性があり、マウス臀筋虚血モデルを確立するためには、更なる試みが必要であると考えられた。
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