研究実績の概要 |
重症大動脈弁狭窄症に対する外科治療として、経カテーテル的大動脈弁置換術 (TAVI) が普及している。TAVIでは生体弁が使用され, 現行ガイトラインでは術後抗血小板療法が推奨されている。しかし、抗血小板療法にも関わらず人工弁血栓症 (HALT) の合併がしばしば認められている。当院におけるTAVI症例について診療録を後ろ向きに検討したところ、大動脈基部特にneo-sinus部分の血流鬱滞とHALT発症の関連を示唆する造影CT検査結果が認められた。しかし、3DCTではリアルタイムの血流評価ができないため、この知見を基に4D flow MRIでNeo-sinusの血流解析を行い、HALT群と非HALT群の違いを評価することを試みた。 当院1.5TのMRIに4D Flow MRIのシークエンスを導入し,neo-sinusの解析を試みたが、人工弁のアーチファクトによる信号低下を認めたため, 正確な血流解析は困難であった. その後、STJ・上行大動脈レベルの血流解析に切り替え, HALT症例と非HALT症例で血流解析の比較検討を行ったが、wall shear stress, energy lossを始めとした血流解析結果に有意な違いを見出すには至らなかった。
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