研究課題/領域番号 |
21K08871
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
安田 尚美 札幌医科大学, 医学部, 訪問研究員 (40722385)
|
研究分担者 |
佐々木 祐典 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (20538136)
川原田 修義 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30325865)
本望 修 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90285007)
長谷川 源 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (80901941)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 虚血性脊髄障害 / 骨髄間葉系幹細胞 / 神経再生 / 神経保護 / 大動脈瘤 / 慢性期 |
研究実績の概要 |
虚血性脊髄障害は胸部大動脈疾患の手術における重篤な合併症のひとつであり、その発症頻度は依然高く、いったん発症すると根本的治療はない。さらに、術後の脊髄障害は予後不良因子でもあることから、新しい治療法の開発に対する期待が高まっている。一方、我々は、急性期虚血性脊髄障害モデルに対して骨髄間葉系幹細胞 (Mesenchymal Stem Cells : MSC)の経静脈的投与を行い、治療効果を発揮することを報告した(Yasuda et al. Brain Res 2020)。虚血性脊髄障害による下肢麻痺等の神経症状は、慢性期においても残存するため、慢性期における治療法の開発が強く望まれている。我々は、外傷性の脊髄損傷に対しては既に慢性期においてもMSCの経静脈的投与によって、神経軸索の再有髄化、血液脊髄関門 (blood spinal cord barrier: BSCB) の安定化、損傷部位およびその近傍の神経線維の増加等のメカニズムによって、運動機能の回復をMSCの投与が治療効果をもたらすことを報告しており (Morita et al., Neurosci, 2016)、慢性期の虚血性脊髄損傷モデルに対する予備実験においても良好な印象を得ている。本研究ではこれまでの知見を生かし、慢性期虚血性脊髄障害に対するMSCの治療効果を検討している。現在、ラットに対して脊髄虚血を誘発し、慢性期後肢不全麻痺モデルラットの作製および行動解析を継続している。継続したモデル作製によりモデル成功率も安定しており、組織採取を開始しており、現在組織解析に向けて数を増やしている段階である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に、研究代表者は、COVID-19のために実験の遂行が遅れたため、予定よりもやや遅れている状況である。新たな研究分担者の追加を行い、実験の遂行の拡充に努める予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
ラットに対して脊髄虚血を誘発し、慢性期後肢不全麻痺モデルラットの作製および行動解析を継続し、先行研究に倣って形態学的解析、免疫染色、プラスチック切片の電子顕微鏡観察を行い、結果に基づき追加実験を行い、研究を推進する方策である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
初年度の繰越金があったことや、コロナ禍のために実験が滞ったこと、さらに旅費の使用を行わなかったために次年度使用が生じた。動物実験を遂行し、必要であれば旅費を使用して情報収集などに使用する予定である。
|