研究課題
基盤研究(C)
本研究では肺移植術後の慢性期の主たる死因であり、通常の免疫抑制療法では制御困難な慢性移植肺機能不全のメカニズムの解明である。研究は肺移植術時の虚血再灌流障害と肺移植後の慢性気道炎症という2つの臨床肺移植に則したシナリオをマウス肺移植に適応した慢性移植肺機能不全モデルを用いて行った。虚血再灌流障害モデルではB細胞、慢性気道炎症では免疫系の細胞や気道上皮の障害が寄与していると考えられた。
肺移植
移植肺機能不全には様々なメカニズムが寄与していると考えられ、そのメカニズムの一端が本研究で明らかになったと考えられる。実際肺移植後には望ましい肺機能に最初から到達できない症例や、長年肺機能が安定していたものの、急性移植肺機能不全をきっかけに肺機能が戻らずCLADに至る症例を経験する。本研究ではこの様な臨床経過をたどる症例のメカニズムの検討に用いることができる動物実験モデルが得られたこと、および治療介入のターゲットとなり得るメカニズムが示唆された。今後の治療の発展に寄与できる成果であると考えられる。