研究課題
本年度は、RERF-LC-AI細胞のAHCY、FTO、TRMT61A、YTHDF2を個別にノックダウンした細胞を作製し、ドセタキセルおよびペメトレキセドに対する抵抗性を確認する実験を行った。前年度の結果から、AHCY、FTO、TRMT61A、YTHDFの4種類の遺伝子を個別にノックダウンした細胞株を作製し、そのノックダウン効率を確認した結果、いずれの遺伝子においても高いノックダウン効率が確認できた。各遺伝子を個別にノックダウンした細胞株に様々な濃度の薬剤(ドセタキセル、ペメトレキセド)を添加した結果、ドセタキセルに対しては薬剤感受性が認められたが、ペメトレキセドに対してはいずれの濃度においても抵抗性が認められた。また、ドセタキセルの添加において4種類の遺伝子を個別にノックダウンしたRERF細胞株に対して感受性の違いは認められなかった。これらの結果から、RNA修飾遺伝子を個々にノックダウンすると、同様の働きを示す遺伝子が補完的に働くことで、今回の実験で解析対象としたRNA修飾遺伝子のノックダウン効果が、弱まった可能性が考えられた。そのうえで、追加の実験として今度は遺伝子を個別にノックダウンするのではなく、4種類の遺伝子を同時にノックダウンした細胞株を作製し、薬剤(ドセタキセル、ペメトレキセド)を添加したが、同様の結果が得られた。AHCY、FTO、TRMT61A、YTHDF2に着目し、抗癌剤抵抗性の解析を行ったが、AHCY、FTO、TRMT61A、YTHDF2をノックダウンすることで、他のRNA修飾酵素の機能が補完的に上がり、抗癌剤抵抗性を低減させることが出来なかったことが示唆される結果となった。
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Am J Transl Res
巻: 15 ページ: 3217-3228