研究課題/領域番号 |
21K08892
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
小島 宏司 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (40288155)
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研究分担者 |
丸島 秀樹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (30338941)
木村 祐之 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (50740859)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | バイオ気管 / 気管再生 / 軟骨培養 / 気道再建 / 生分解性ポリマー |
研究実績の概要 |
2018年から3年間の科学研究費助成下での研究実績の概要は、(1)80歳以上の患者から採取した気管支軟骨からでも軟骨細胞の培養が可能となり、培養期間を増やすことなく2回の継代でバイオ軟骨を作製することが可能となった。また、ヌードマウスの背部皮下に埋植した、PGA/細胞マトリックスからバイオ軟骨を作製できた。(2)イヌより採取した気管軟骨より、軟骨細胞培養が可能な培養条件を検討した。その結果、気管軟骨をコラーゲンIIで37度下、8-12時間digestionすることにより軟骨細胞を獲得できた。 本研究においては、2021年4月よりイヌ(N=2)を用いて、頸部気管より軟骨を2リング採取し、前回の助成で確立した条件で軟骨細胞を培養した。しかし、細胞数が増加しなかったり、培養中に細胞形態が変化し理想的な軟骨細胞が安定して得られなかった。ヒト、ヒツジ軟骨細胞と比べると明らかに培養軟骨細胞の育ちが悪かった。そこで、他の実験で犠牲死させたウサギを用いることとした。2021年10月より犠牲死させたウサギの頸部気管から軟骨を採取し軟骨細胞の培養を試みた。 イヌと比較し、安定して軟骨細胞が得られ、2回の継代においても細胞の形態はほぼ変化しなかった。2022年1月より、生分解性ポリマー(PGA)に培養したウサギの軟骨細胞を塗布して、ヌードマウスの背部皮下 に埋植した。ヒツジやヒトと同様の硬い白色のバイオ軟骨が作製できた。本研究の目的は自己細胞を用いた気管の再生の追求である。当初、イヌを用いた実験計画であったのは気管のサイズがヒトと同じであること、気管の吻合が手術手技上やりやすいことであったが、イヌからの軟骨細胞が安定して得られないため実験動物 の変更を決断し、2022年4月より実験を再開した。2023年3月までに6羽のウサギより軟膏細胞を培養し、ヌードマウスの背部皮下に移植し、バイオ気管を作成することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度はイヌ(N=2)の頸部気管より軟骨を採取し、軟骨細胞を培養したが、細胞数が増加しなかったり、培養中に細胞形態が変化し理想的な軟骨細胞が安定して 得られなかった。継代を2回まで試みるも、継代2回めのイヌの軟骨細胞は形態を失い安定した細胞数が得られなかった。軟骨組織をコラーゲンで酵素処理する際 に問題がある可能性も否定できないため、他の2種類のコラーゲンを試みたが、軟骨細胞は採取できたが安定して培養できなかった。このまま、残りの2年間を 犬を用いて研究することは、動物尊厳の観点や時間を考えると実験動物を変更するのが正しいと判断した。当教室では、ウサギの気道狭窄モデルの研究も行って いるため、犠牲死させたウサギより気管軟骨より軟骨細胞が採取できるかの予備実験を行なってみた。その結果、ウサギの気管から6時間くらいのコラーゲンに よる酵素処理をすることによって容易に軟骨細胞を採取することが確認できた。そこで、2022年4月よりウサギの気管より採取した軟骨から軟骨細胞を培養し、 生分解性ポリマー(PGA)に塗布して、ヌードマウスの背部皮下に移植を試みた結果、硬い白色の軟骨を作製できた。またバイオ気管の組織像でコラーゲンII 染色し、バイオ軟骨であることを確認できた。次年度からは、ウサギを用いた気管再生の研究をすることとした。次年度の最終年度は、ウサギ自身の皮下で免疫抑制時を使用し、バイオ気管の作製を試みる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は今年度からは、イヌの代わりにウサギを用いた再生気管の作製を開始した。すでにウサギから採取した培養軟骨細胞で、ヌードマウスの背部皮下に埋植したPGAシートと軟骨細胞マトリックスが、白色で硬いバイオ軟骨の作製に成功した。次に正常のウサギの気管と比較するため免疫組織学的染色、生化学検査を行って正常の軟骨組織に類似したバイオ気管を作製できた。次年度の最終年度は、ビーグル犬の実験モデルと同様に、ウサギの頸部皮下に埋植して再生気管を作製する。ウサギの頸部気管のサイズを測定し、自作シリコンステントの作製や、培養した軟骨細胞をPGAシートに塗布し、ウサギの頸部気管の横に埋植する。 ウサギの筋肉内に投与する免疫抑制剤の量も検討する。予備実験として、2023年1月から3月までに、ウサギの気管を3リング切除し、気管の端々吻合が手技上可能なのかを検証した。吻合自体に問題なく、術後も呼吸苦など生じなかった。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年10月にイヌからの採取を断念し、ウサギの頸部気管より軟骨細胞を採取して培養軟骨細胞を獲得することとした。2022年4月以降、ウサギの頸部気管において気管の端々吻合が可能かを6羽を用いて検討ずみで、吻合後のエアリークもなく、イヌで計画された実験計画書に準じて研究を続行する予定であった。2022年7月から2023年1月にかけて、ウサギの軟骨の採取部位を、気管軟骨だけでなく、鼻中隔軟骨からの採取を試みるようにした。その際の検体の量や、酵素分解の時間、細胞の継代方法に時間を費やしてしまい、約4ヶ月間研究が遅れてしまった。今後の予定は、2023年4月より気管と鼻中隔の両方から軟骨を採取し、培養した軟骨をウサギの頸部気管に埋植する予定である。また、埋植後の免疫抑制剤の投与量も2023年8月までに検討し、残りの半年でウサギを6羽用いて、バイオ気管の移植実験を継続する予定である。
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