研究課題/領域番号 |
21K08893
|
研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
湯川 拓郎 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80388975)
|
研究分担者 |
猶本 良夫 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00237190)
深澤 拓也 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (20379845)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 肺腺癌 / BRAF / 分子標的 |
研究実績の概要 |
BRAFは、EGFR、ALK、ROS1fusion、RET fusionなどと同様に肺癌の重要なドライバー遺伝子である。最も多いBRAF変異はV600E(41%)であるが、K601E、D594G、G469Aなど他のnon-V600E変異も多く検出されている。本邦においてはBRAF V600E 陽性肺癌に対して、BRAF阻害剤: ダブラフェニブとMEK阻害剤:トラメチニブ併用療法の有効性が報告され、2018年3月に国内承認されている。一方で、BRAF non-V600E変異を持つ肺癌に対する治療法は未確立である。non-V600E変異は、さらに野生型BRAFと二量体を形成し、下流シグナルを活性化できる活性中間型、そして野生型CRAFと二量体を形成し、弱い活性を誘導する不活型に大別される。研究期間1年目において、2種のBRAF阻害剤: ダブラフェニブ、エンコラフェニブ、そしてMEK阻害剤:トラメチニブ、ビニメチニブを用い、活性中間型および不活化型に対する治療有効性の評価を行った。活性中間型BRAF G469Aを持つ肺腺癌株: H1395、H1775、そして不活化型BRAF G469Aを持つ肺腺癌株: H1666に対し上記標的薬を投与し、細胞内ATPの定量を行うことでcell viabilityの変化を解析した。上記薬剤の活性中間型細胞株への感受性は、いずれもBRAF V600Eをもつ肺腺癌株: HCC364に比べ低い結果となった。また不活化型を持つH1666に対しては、トラメチニブが感受性を示したのみで、他の3剤へは抵抗性が見られた。以上のことから、使用したBRAF阻害剤およびMEK阻害剤のBRAF non-V600Eへの効果は限定的であり、今後併用効果また他剤での効果の検討を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ここまではin vitroでの単剤での効果を測定しており、平易な実験であるため。
|
今後の研究の推進方策 |
MEK阻害剤および、BRAF阻害剤の併用効果をin vitroで解析するとともに、他剤との併用効果を検討する。さらに他の前臨床モデル(Xenograft、 オルガノイド)での有効性を解析する
|
次年度使用額が生じた理由 |
世界的なCOVID-19により、オルガノイド培養に必要な増殖因子、マトリゲルなどの細胞生物学試薬の輸入、購入が一時的に困難となったため。現在、物流改善し、BRAF変異型肺癌オルガノイドの培養と、新たな樹立が可能となっており未使用額を使用する。
|