研究課題/領域番号 |
21K08899
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
川口 晃司 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (10402611)
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研究分担者 |
金田 真吏 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (30793418)
田口 歩 愛知県がんセンター(研究所), 分子診断TR分野, 分野長 (50817567)
伊藤 温志 三重大学, 医学系研究科, 助教 (80783133)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 肺非腺癌 / 多層プロテオーム解析 / サーフェスオーム解析 / 患者腫瘍組織移植(PDX)モデル |
研究実績の概要 |
肺非腺癌である小細胞癌、大細胞癌や扁平上皮癌の5年生存率は45-60%と、肺腺癌と比較して明らかに予後不良である。次世代シーケンシングなどの解析手法の進歩によって、ゲノム情報を中心に肺非腺癌の分子生物学的な知見は集積しつつあるものの、有効な治療法の開発には至っていない。そこで、本研究では、プロテオミクスを用いた革新的なアプローチによって、肺非腺癌の克服に取り組む。細胞表面タンパク質は、癌において機能的に重要な役割を果たしているだけでなく、その局在により、抗体などの免疫治療の直接的な標的として非常に有望である。細胞表面タンパク質は細胞内タンパク質に比べて極めて微量であることから、本研究では、肺非腺癌の腫瘍組織または癌細胞から、患者腫瘍組織移植(PDX)モデルを作成し、エクソーム解析とトランスクリプトーム解析に加えて、サーフェスオーム解析とリン酸化プロテオーム解析を行う。本年度は、高度免疫不全モデルであるRag-2/Jak3二重欠損マウスを用いたPDXモデルの作成を中心に研究を進めた。現在までに小細胞癌1例、扁平上皮癌7例、多形癌1例からのPDXモデルの作成に成功し、多層オミクス解析に供するサンプルの収集を行った。また比較対照とする肺腺癌についても7例においてPDXモデルが作成できた。PDXモデルの作成効率は約25%と、既報の作成効率と同程度であった。現在、各PDX腫瘍において、TMTラベリング試薬を用いたサーフェスオーム解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肺癌におけるPDXの作成効率は一般的に20%程度と他の癌腫に比較して低いことがしられている。本研究においても約25%の作成効率であり、既報と同程度であった。そこで、三重大学医学部附属病院だけでなく、名古屋大学医学部呼吸器内科、呼吸器外科との共同研究体制を構築した。これにより、質の高い臨床検体の集積が著しく向上し、9例の肺非腺癌PDXモデルを作成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き肺非腺癌PDXモデルの作成を継続する。PDX腫瘍を用いて、細胞株の樹立、病理学的評価に加えて、エクソーム解析とトランスクリプトーム解析、プロテオーム解析(サーフェスオーム解析とリン酸化プロテオーム解析)を進める。新規治療標的候補と考えられる細胞表面タンパク質分子については、愛知がんセンター分子診断TR分野が保有する肺非腺癌細胞株や、本研究でPDX腫瘍から樹立する細胞株を用いて、その機能的重要性や制御機構について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で旅費などが予想より少なくなったため、サーフェスオーム解析に用いる消耗品の購入に使用する予定である。
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