研究課題/領域番号 |
21K08901
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
田中 雄悟 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (20403256)
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研究分担者 |
青井 貴之 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (00546997)
眞庭 謙昌 神戸大学, 医学研究科, 教授 (50362778)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 縦隔原発肉腫 / iPS / 個別化精密医療 / RNA-Seq解析 / Exome解析 |
研究実績の概要 |
当院で2008年から2021年までに切除された縦隔原発肉腫20例についての予後因子、治療効果因子を探索するために、切除標本を用い検討を行うこととした。組織型については肺動脈内膜肉腫;12例(うち2例は同一症例での再発時の検体を使用)、脂肪肉腫;5例、平滑筋肉腫;1例、骨外性骨肉腫;1例、Sarcoma NOS;1例であった。 まず、腫瘍のPD-L1発現の有無を確認するために未染組織ブロックより薄切標本を作製し、腫瘍細胞のPDL-1タンパクの発現の有無を調べた。結果については、すべての組織検体において発現は低発現(5%以下)であった。 引き続き、同腫瘍のパラフィンブロックよりDNA及びRNAを抽出を試みた。20検体中の2検体で組織量が少なく抽出が少ない可能性が示唆されたが、現在20例全てにおいて抽出を進めているところである。RNA抽出の状況を確認し、可能なサンプルに関しては、引き続きNext Generation Sequencer (NGS)にてRNA-Seq解析及びExome解析を行っていく。結果については今後、ライブラリーのデータを用い癌関連遺伝子を始めとした約3万種類の遺伝子について縦隔肉腫組織内で特異的に高発現している遺伝子を確認する予定である。 また、同時並行で計画していた「軟部肉腫オルガノイド作成と漿尿膜培養による肉腫オルガノイドの微小環境の評価」については昨年度に肺動脈内膜肉腫について1例の外科治療症例があったため、切除直後の腫瘍組織を採取し、人工軟部肉腫幹細胞の作製を試みた。しかし、腫瘍細胞周囲の間質細胞の量が上皮系悪性腫瘍と比較し著明に多く、オルガノイド作成には至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、組織標本よりPD-L1発現の有無について確認できており、組織アレイを用いた免疫染色は可能な状況であることが分かっている。また、RNA抽出についても順次進めている。計画では本年度中にRNA-Seq解析及びExome解析を行う予定であったため、計画が少し遅れている。しかし、次年度早々には解析可能な状況であるため、次年度はライブラリーを用い肉腫組織で特異的に高発現している遺伝子を確認可能となる。その後、組織アレイでのタンパク発現についても検証可能と考える。 オルガノイド作成については希少疾患のため症例ごとに検討を行っていく必要があるため計画時に予期されていた範疇での出来事と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
縦隔原発肉腫20例のRNA抽出状況を確認する。その後、RNA-Seq解析及びExome解析を進めていく。結果については結果については今後、ライブラリーのデータを用い癌関連遺伝子を始めとした約3万種類の遺伝子について肉腫組織で特異的に高発現している遺伝子を確認する。高発現していたものについては組織アレイでのタンパク発現についても確認する。 軟部肉腫オルガノイド作成については、腫瘍細胞と間質細胞の割合について間質細胞の除去について考慮していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
縦隔腫瘍検体のパラフィンブロックからのRNA抽出とRNA-Seq解析及びExome解析について本年度末に研究実施を予定していたため予算を計上していたが、進捗がわずかに遅れていたため次年度早々に行う予定となった。その費用分が次年度に繰り越されることとなったため次年度使用額が生じた。
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