研究課題
これまで積層線維芽細胞シートが血管新生に関与する因子を分泌していること、および、移植後の組織で多くの血管構造が観察される結果を得ている。積層線維芽細胞シートの血管新生能をin vitroで評価するために、tube formation assayを実施した。マトリゲル上に播種したHUVEC細胞の培養ウェルに、積層線維芽細胞シート作製時の培養上清を添加、および、コントロールとして、積層線維芽細胞シート作製時に使用する血清含有培地を添加して、HUVECのTube formationを評価したところ、添加培養して6時間後において、積層線維芽細胞シート作製時の培養上清の分岐数は、コントールの分岐数と比較して、有意に分岐数が多い結果を得た。移植後の積層線維芽細胞シートの残存期間を検証するために、GFP陽性積層線維芽細胞シートをラット気管支断端モデルに移植したところ、移植3日後では、GFP陽性細胞が観察されたが、移植7日後以降では、GFP陽性細胞は観察されなかった。この結果は、移植された積層線維芽細胞シートは、移植直後に、血管新生および組織再生に必要となる因子を分泌した後、移植された細胞は消失していくことが示唆された。本研究の結果は、ラット気管支断端モデルに対して、積層線維芽細胞シートの気管支断端への移植により、断端の虚血が改善されることで、断端部の細胞増殖が促され、断端部の組織増生に繋がることで、断端部における耐圧能も上昇する結果となったと考察した。
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