研究課題/領域番号 |
21K08906
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
永井 俊太郎 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (90755240)
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研究分担者 |
梁井 公輔 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (10621055)
大西 秀哉 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30553276)
中村 勝也 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (60585743)
三好 圭 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (70755272)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | FAM115C / 肺NET / 癌悪性形質 / 増殖能 / 浸潤能 / 抗腫瘍効果 / 新規治療法開発 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、肺NETの新規治療法開発のために「肺NETにおけるFAM115cの生物学的意義を解析し、FAM115cが肺NETの①治療標的因子、②予後予測因子、③診 断補助因子となり得るかを検証する」ことである。昨年度まで、FAM115c抑制により、肺NETの増殖、遊走、浸潤がどのように動くかをいくつかの細胞株を用いて実験していた。なかなか、再現性が困難であったが、繰り返し実験を行い、再現性が難しいのは、差異が極めて小さいことに原因がありこれはすなわち、FAM115cが肺NETの形質変化にほとんど寄与していないことを示唆すると考えた。我々は、癌の悪性化を抑制するような薬剤開発を目的としているため、肺NETにおいてはFAM115cを直接の標的とすることは難しいと考えた。そこで、低酸素環境と通常酸素環境で培養した癌細胞を用いたマイクロアレイ解析を行い、低酸素環境とFAM115c発現に関係がありそうな分子として、Chromosome 4 Open Reading Frame 3 (C4orf3)分子、Complement 3 and pregnancy zone protein-like, α2-macroglobulin domain-containing 8 (CPAMD8)分子、 Apolipoprotein L4 (APOL4)分子を新たに同定した。これら分子の中で、まずC4orf3 siRNAを用いて、肺NETのC4orf3を抑制して増殖・遊走・浸潤といった癌悪性形質誘導に関する実験を行ってみた。その結果肺NETの遊走能、浸潤能が有意に抑制されることが分かった。現在再現性を確認しているところである。今後さらに、CPAMD8、APOL4についても解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肺NETにおいてはFAM115cを直接の標的とすることは難しそうであるが、新たに、関連する分子として、Chromosome 4 Open Reading Frame 3 (C4orf3)分子、Complement 3 and pregnancy zone protein-like, α2-macroglobulin domain-containing 8 (CPAMD8)分子、 Apolipoprotein L4 (APOL4)分子を同定できた。これらの中で、C4orf3は増殖、浸潤に関与する可能性が見出され、新たな癌治療標的として有望と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
肺NETにおいてはFAM115cを直接の標的とすることは難しそうであるが、低酸素環境とFAM115cの関連因子の探索のため、低酸素環境と通常酸素環境で培養した癌細胞を用いたマイクロアレイ解析を行い、Chromosome 4 Open Reading Frame 3 (C4orf3)分子、Complement 3 and pregnancy zone protein-like, α2-macroglobulin domain-containing 8 (CPAMD8)分子、 Apolipoprotein L4 (APOL4)分子を同定した。今後は、C4orf3、CPAMD8、APOL4分子について、siRNAを用いて遺伝子発現を抑制させ、肺NETの形質変化を解析する予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に行った癌細胞の形質変化の解析(増殖・遊走・浸潤)が、前年度の研究で使用した消耗品で施行できたため、新たに物品を購入せずに実験を行えたため、次年度使用額が生じた。今年度は、新たな分子を同定できたので、これらを抑制するためのsiRNA購入や遺伝子を操作する費用に使用する予定である。
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