研究課題/領域番号 |
21K08911
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
古川 欣也 東京医科大学, 医学部, 教授 (20246292)
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研究分担者 |
本多 彰 東京医科大学, 医学部, 教授 (10468639)
宮崎 照雄 東京医科大学, 医学部, 准教授 (60532687)
小野 祥太郎 東京医科大学, 医学部, 助教 (50532214) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 27-ヒドロキシコレステロール / マクロファージ / 間質性肺炎合併肺癌 / 免疫染色 |
研究実績の概要 |
予後不良な疾患である間質性肺炎合併肺癌は,化学療法や外科治療などの肺癌に対する治療が,合併している間質性肺炎を急性増悪させる事がある。そのため,未だ,治療法は確立しておらず,病態進展機序や悪化因子を早期解明する事が望まれる疾患である。 これまでの検討において,肺胞マクロファージから分泌される酸化コレステロールの27-ヒドロキシコレステロールが,肺癌細胞のエストロゲン受容体に対する内因性のリガンドとして作用する事で,肺癌細胞の増殖を促進する事が明らかとなっている。さらに,27-ヒドロキシコレステロールの作用として,肺線維芽細胞の筋芽細胞への分化も促進し,肺線維化を進行させる事も報告されている。そのため,本研究では,肺癌と間質性肺炎が合併する本疾病においても,肺胞マクロファージから分泌される27-ヒドロキシコレステロールが,病態の悪性度を高める共通因子であるとの仮説を検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究2年目までの計画として,間質性肺炎合併肺癌患者と非合併肺癌患者における病理組織標本を,各病態50例を目標に約5年間遡って病理組織標本を抽出する後ろ向き研究を行った。1年目に引き続き,両癌疾患の患者の病理標本の抽出を行い,27-ヒドロキシコレステロールの合成酵素CYP27A1やTGFβ等の免疫・炎症関連因子の抗体の選定や購入を行い,癌部,非癌部,線維化部における免疫組織染色を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
肺癌と肺線維化を促進する共通因子の候補蛋白質の免疫染色を引き続き行う予定である。さらに,手術摘出肺癌臓器における癌部と非癌部で,各種酸化ステロールやがん増殖に関わる栄養・エネルギー代謝物質メタボローム解析,ならびに,炎症性サイトカインや核内受容体と標的遺伝子群,代謝酵素,線維化やがん増殖に関わる遺伝子発現の分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫染色で予定していた染色条件の事前検討によって,使用する抗体の選定が順調で,予定していた使用量よりも少なく済んだ事で,予算使用を抑える事ができた。次年度から始めるメタボローム解析や遺伝子解析で,使用する計画である。
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