研究課題/領域番号 |
21K08913
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
光星 翔太 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (70746875)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 肺胞上皮細胞 / 細胞シート / 移植 |
研究実績の概要 |
肺移植は現在の医療で他に有効な治療法がない疾患に必要とされ、本邦においても増加の一途である。しかしながら、ドナー不足が現状で、再生医療の果たす役割に大きな期待が寄せられている。肺胞上皮細胞(AEC;alveolar epithelial cell)はガス交換を担う重要な細胞だが、長期培養が困難とされてきた。AECの培養方法はマウス由来フィーダー細胞との共培養が確立されている。しかし、異種由来の細胞を使用し培養された細胞は、より安全性の担保が必要な再生医療には使用しづらい。現在までにフィーダーフリーでのAECの培養方法、AEC単一細胞からなるシート作製の報告はない。再生医療の組織補填療法として肺胞構造の再構築を目的に、AECを細胞ソースとし、フィーダーフリーでのAEC培養方法の確立とAECシート作製と再生治療としての移植を行う。ラットからAECを単離し、rhoキナーゼ阻害剤と組換えヒトラミニン511-E8タンパク質を用いて、フィーダーフリーでAECの培養を行い、細胞増殖を確認した。さらに、フィーダーフリーで培養されたAECは温度応答性培養皿を用いて細胞シート作製可能であった。培養細胞、作製された細胞シートは共に免疫染色でAECであることが確認された。作製されたAECシートを無胸腺ラットの肺切除断端へ移植し、1週間後に移植部位を摘出した。摘出した移植部位を免疫染色を行い、細胞シートがAECの特性を保持して生着していることを確認した。AECは継代によっても増殖を確認し、細胞シート作製が可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は再生医療の組織補填療法として肺胞構造の再構築を目的に、AECを細胞ソースとし、フィーダーフリーでのAEC培養方法の確立とAECシート作製と再生治療としての移植を行う。進捗としてはAECの培養方法、AECシート作製、移植まで一連の研究までは達成できた。最適な条件を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、フィーダーフリーでのAEC培養方法、AECシート作製に関しては最適な条件を検討し、細胞をフローサイトメトリでより詳細な解析を行う。AECシート移植に関しては肺への移植に関しては機能的側面の解析を検討するとともに、異所性に移植を行い、移植部位の組織特性を解析する。継代したAEC、継代後のAECから作製した細胞シート、さらに移植まで行い、組織特性を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究が概ね順調に進展したため、支出を抑えることができた。翌年度はフローサイトメトリーや移植実験の頻度が増えるため翌年度分と合わせた助成金の使用が考えられる。
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