研究課題/領域番号 |
21K08917
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
森本 裕二 北海道大学, 医学研究院, 教授 (00250457)
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研究分担者 |
内田 洋介 北海道大学, 大学病院, 准教授 (00507585)
干野 晃嗣 北海道大学, 大学病院, 講師 (40802434)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 統合的ストレス応答 / 敗血症関連脳障害 |
研究実績の概要 |
我々の目的は、敗血症モデルマウスを用いて敗血症性脳症(SAE)における統合的ストレス応答(ISR)の関与、ISRを制御する薬剤であるISRIBの効果について検討することである。 初年度は、本研究に適した動物モデルの作成を試みた。2年度目は、行動学実験から一度離れ、敗血症罹患後の海馬におけるISR活性化を調べることとした。方法としては、盲腸結紮穿刺(CLP)モデルを使用し、ISR活性化で発現量が増加すると報告されているタンパクである、P-eIF2α、ATF4、CHOPの発現量をWestern blot法を用いて測定した。 Western blot法によりP-eIF2α、eIF2αの発現を検出し、P-eIF2α/eIF2αを測定した。 当初は先行研究でも使用していた蛍光Western blot法を用いて検出を試みたが、条件等の調節を行なっても検出力が足りず、P-eIF2αの検出が困難であった。化学発光Western blot法に変更したところ、感度が上がり、P-eIF2α、eIF2αを検出することができた。盲腸結紮穿刺(CLP)後24時間で、eIF2αは上昇が認められたが、P-eIF2αに上昇がなく、予想した結果と異なるものであった。ただし、eIF2αのバンドには下向きのスメアが発生しており、タンパクが分解した可能性が否定できないと考えた。海馬サンプルの蛋白溶解方法や、破砕方法、Western blot法の電気泳動、転写等の条件変更等を行なったが結果は同様であった。 そこで、ISR活性化で上昇が予想されるATF4、CHOPなど別のタンパクの検出を試みた。いずれもCLP後24時間での上昇を認めなかった。CLP後遠隔期でのISR活性化の可能性も考えて、CLP後1週間でも同様のタンパクP-eIF2α、eIF2α、ATF4、CHOPを検出したが、CLP群での上昇を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
P-eIF2α、eIF2α、ATF4、CHOPなどのタンパクの検出に適したWestern blot法の条件を探すのに時間を要した。検出方法については確立したが、予想した結果とは異なる実験結果となっており、検証が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
CLPモデルで既存の報告の結果と異なる結果となっており、LPS投与モデルでの確認も進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に必要なものは調達済であり、次年度に繰り越す残額については、実験に必要な物品を購入する予定である。
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