本研究では、吸入麻酔薬が骨格筋に及ぼす影響を検討した。C2C12細胞を用いたin vitro実験では、吸入麻酔薬(イソフルランとセボフルラン)が濃度依存性に筋管径を短縮した。その機序として、吸入麻酔薬がAkt経路を介して蛋白分解の二つの経路(ユビキチンプロテアソーム経路とオートファジーリソソーム経路)を亢進し蛋白合成を抑制することを示した。 In vivo実験では、イソフルラン暴露群で二つの不動化モデル(坐骨神経切断と尾部懸垂)に比べマウス骨格筋におけるAktリン酸化の低下、蛋白分解の亢進と蛋白合成の低下を認めた。この結果から、吸入麻酔薬暴露が不動化とは関係なく筋萎縮を助長することが考えられた。
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