研究課題/領域番号 |
21K08933
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
上園 晶一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (10291676)
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研究分担者 |
近藤 一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50266623)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 術後疼痛 / インターネット |
研究実績の概要 |
院内遠隔医療システム(患者と急性疼痛管理チームを直接結びつけるような術後疼痛管理システム)を作成し、その運用による効果を評価することが今回の目的である。 (1)タブレットアプリの開発とシミュレーション: 患者に持たせるタブレット内には、1.患者教育用の教材(術後疼痛管理に関する一般的説 明をイラストで説明したもの)と、2.送信用のセルフアセスメントアプリを含む。セルフアセスメントの内容は、術後疼痛評価(NRSスケール)、嘔気嘔吐(4段階評価)、痒み(4段階評価)、運動・知覚 障害の有無とする。ソフト完成後に、①院内Wi-Fiを用いてセルフアセスメント画面が病棟 携帯端末とAPSチーム携帯端末で受信されるかどうかを確認する(図1)。②アプリの作成終了後、アプリを患者が使いこなせるかどうか患者からボランティアを募り施行する③アプリの院内での作動状況(患者、 看護師、APSチーム間のコミュニケーション)をシミュレーションにて確認する。院内遠隔医療システムに関しては現行使用のシステムをカスタマイズし、タブレットと連動させることで可能となることが分かった。現段階ではシステムアプリの作成、システム連動確認中である。 (2)タブレット運用によるパイロット研究 患者が入力したセルフアセス メント画面を病棟看護師の携帯端末とAPSチームの携帯端末の両方で受信する。患者報告を受けたAPS担当医は、これからのAPSの対応を携帯端末から患者ならびに病棟看護師に発信し、APSチームの医師や看護師が直ちに患者の診察・治療を行う。約6ヶ月の試用期間中、 タブレットによるコミュニケーションが可能だったかどうか、すべての患者発信情報について患者ならびに看護師へのインタビューを通して確認する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現行の術後疼痛管理システム(フィリップス社)をカスタマイズすることで、患者に持たせるタブレット内に患者教育用の教材(術後疼痛管理に関する一般的説 明をイラストで説明したもの)と、送信用のセルフアセスメントアプリを入れる予定であったが、コロナ禍のために臨床研究を行う予定の病棟が一部閉鎖に追い込まれたため、システムのカスタマイズに遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
アプリの作成、モバイル連動操作確認の終了後、アプリの院内での作動状況(患者、 看護師、APSチーム間のコミュニケーション)をシミュレーションにて確認する。タブレット運用による腹腔鏡手術による大腸がん手術を行う患者を対象にパイロット研究を施行する。タブレットの使用経験がある患者を選び、アプリの使用方法を説明する。患者が入力したセルフアセス メント画面を病棟看護師の携帯端末とAPSチームの携帯端末の両方で受信し、APSチームの医師や看護師が直ちに 患者への対応、診察を行う。その他の場合、看護師に患者対応を指示する。パイロット研究後、タブレットによるコミュニケーションが可能だったかどうか、すべての患者発信情報につい て患者ならびに看護師へのインタビューを通して確認する。不具合部分が発見できれば必要に応じてアプリを改訂する。 次に術後タブレット運用に関する前向き比較試験(タブレット使用有無によるランダム化比較試験)を行う予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
病棟でのコロナ患者発生があり、一部の病棟が閉鎖するなどの理由で病棟での臨床研究が極めて難しくなり、回診機能強化に伴う電子カルテのカスタマイズが予定通りにいかなかった。現在では、病棟機能がかなり回復したため、カスタマイズは今年度中に行えることになっていて、その費用に当てる予定である。セルフアセスメントの内容は、 術後疼痛評価(NRSスケール)、嘔気嘔吐(4段階評価)、痒み(4段階評価)、運動・知覚 障害の有無としている。今後、フィリップス社によるアセスメントアプリ作成、購入したモバイル(医師、看護師サイドが所持して患者アセスメント情報を得る)との連動確認を行う予定である。
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