研究課題/領域番号 |
21K08934
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
石川 真士 日本医科大学, 医学部, 大学院教授 (30714745)
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研究分担者 |
岩崎 雅江 日本医科大学, 医学部, 講師 (20744428)
坂本 篤裕 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (30196084)
間瀬 大司 日本医科大学, 医学部, 講師 (60614831)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 麻酔薬 / 癌 / β遮断薬 / 敗血症 |
研究実績の概要 |
「敗血症における腎機能障害に対する麻酔薬の保護作用の検討」 LPS投与によるラット敗血症性腎障害モデルにおいて、デクスメデトミジン投与群(D群)では腎機能障害が悪化した。一方、ミダゾラム投与群(M群)では腎機能が改善した。腎尿細管の免疫蛍光分析では、D群ではNFκΒの発現増加、および、IKKβのκ軽鎖ポリペプチド遺伝子エンハンサーの阻害が見られたが、M群ではNFκBの発現減少が見られた。デクスメデトミジン投与は敗血症性AKIを悪化させる可能性があるが、ミダゾラムはNFκB経路を介して腎機能を維持する可能性があることがわかった。 「癌細胞に対する循環作動薬の抗腫瘍、腫瘍促進作用の検討」 本研究では、ノルアドレナリン(NAD)で処理したヒト肺腺癌細胞に術中使用が可能なβ遮断薬(プロプラノロール(P)、ランジオロール(L))を投与することでの腫瘍抑制作用、そのメカニズムについて検討した。A549ヒト肺腺癌細胞を、各薬剤(NAD 10μmol/LM、P 10nmol/LM、L 1000nmol/LM)に2時間暴露した。NAD群は、コントロール群および他の3群と比較して細胞増殖が増強され、Ki67発現率が高く、rt-PCRにおけるHRASおよびVEGFA発現が高く、TGFBR2発現が低いことが示された。一方で、NAD+P群およびNAD+L群では有意な変化は見られなかった。以上より、交感神経刺激薬 NADの2時間暴露はA549における細胞増殖能力増強を引き起こし、さらに、β遮断薬がNADの腫瘍促進効果を抑制したことを示した。rt-PCR arrayではHRAS、VEGFAの発現変化が認められた。今後、validation PCRを行うとともに、各mRNAをsiRNAにて抑制することでそれぞれの作用を確認する予定である。
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