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2021 年度 実施状況報告書

非コードRNAスプライスバリアントを標的とした新規鎮痛戦略の探索

研究課題

研究課題/領域番号 21K08936
研究機関日本医科大学

研究代表者

丸山 基世  日本医科大学, 医学部, 助教 (60709757)

研究分担者 坂井 敦  日本医科大学, 医学部, 講師 (30386156)
齋藤 文仁  日本医科大学, 医学部, 准教授 (20360175)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード非コードRNA / スプライスバリアント / 一次感覚神経 / 神経障害性疼痛
研究実績の概要

一次感覚神経はがんや一部抗がん薬、虚血性障害、外傷など非常に様々な要因によって障害されることで、慢性の難治性疼痛である神経障害性疼痛の発症へとつながる。このような疼痛は非常な苦痛を伴うのみでなく、原疾患の治療に対する妨げにもなるが、未だ十分な治療法はない。そのため、全く新しい概念の導入による新規治療標的の同定が期待される。
近年、タンパク質をコードしない非コードRNAが機能性RNAとしてあらゆる生命機能に深く関わり、様々な疾患で重要な役割を担うことが明らかにされてきている。中でも、200塩基以上の長さを持つ長鎖非コードRNA(lncRNA)はタンパク質をコードするmRNAよりも多くの種類が存在するにもかかわらず、未だその大半の機能が未知である。我々は神経機能に重要な特定の遺伝子の選択的スプライシングによりホスト遺伝子のタンパク質をコードしていないスプライスバリアント(lncRNA-SV)が一次感覚神経において末梢神経傷害により劇的に発現変化することを見出している。本研究ではlncRNA-SVの神経障害性疼痛における機能を明らかにし、本遺伝子の選択的スプライシングを標的とした新規鎮痛戦略の探索を行うことを目的とした。
lncRNA-SVは一次感覚神経の核膜周辺に発現しており、一般的にlncRNAはコード遺伝子と比較して発現量が低いものが多いが、本lncRNAはホスト遺伝子のmRNAに匹敵する発現量を示していた。lncRNA-SVを特異的に一次感覚神経で発現抑制したところ痛覚過敏が生じ、過剰発現させることで神経障害性疼痛モデル動物に対して鎮痛作用が得られた。lncRNA-SVによる遺伝子発現調節をRNAシーケンスにより網羅的に解析し、バイオインフォマティクスによりlncRNA-SVが関わるシグナル経路や細胞機能を検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

lncRNA-SVの一次感覚神経における発現分布を明らかにし、特に核膜周辺に発現していたことから遺伝子発現調節に機能を有する可能性が示唆された。さらに、lncRNA-SVの発現を一次感覚神経特異的に調節することにより、神経障害性疼痛への関与を明らかにすることができた。これら動物の一次感覚神経における遺伝子発現変化をRNAシーケンスにより網羅的に解析することで、神経障害性疼痛におけるlncRNA-SVによる遺伝子発現調節の詳細な解析を進めているところであり、おおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

我々はlncRNA-SVがホスト遺伝子とは真逆の痛覚抑制作用を有することを見出しており、lncRNA-SVによる疼痛調節機構を探索することで神経障害性疼痛の鎮痛戦略の開発を目指す。
lncRNAは塩基対形成を介して特定のDNAやRNAと特異的に結合することにより、様々な遺伝子発現調節に機能を有している。lncRNA-SVはホスト遺伝子の選択的スプライシングにより産生されるため、lncRNA-SV生成メカニズムを明らかにするために、ホスト遺伝子のpre-mRNAに結合してlncRNA-SVの生成に寄与するスプライシング調節タンパク質の同定を試みる。一次感覚神経由来タンパク質をビオチン標識したpre-mRNAでプルダウンし、質量分析を用いたショットガン解析により結合タンパク質を網羅的に同定する。同定したスプライシング調節タンパク質とpre-mRNAとの結合をRNA免疫沈降法により確認する。

次年度使用額が生じた理由

購入予定の試薬類が納期未定となり、年度内での支払いが間に合わなかったため

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公開日: 2022-12-28  

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