研究課題/領域番号 |
21K08941
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
上野 伸哉 弘前大学, 医学研究科, 教授 (00312158)
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研究分担者 |
古川 智範 弘前大学, 医学研究科, 助教 (60402369)
櫛方 哲也 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (80250603)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | GABA-A受容体 / 麻酔薬 / 受容体トラフィッキング / 受容体リン酸化 |
研究実績の概要 |
GABA-A受容体の細胞内トラフィッキング機構解明のため、まずGABA-A受容体を安定的に発現する細胞系統の確立を行った。細胞系として神経系細胞(神経芽細胞腫)であるNeuro2A細胞株を用いた。受容体可視可のためmDsRedを導入したマウスGABA-A受容体betaサブユニットを作製した。mDsRed標識betaサブユニットにさらにGABA-A受容体alphsおよびgammaサブユニットを共発現させた細胞株の確立を行った。このmDsRedを標識としたWild-typeの組み合わせを組み込んだ細胞株は、DsRedに対する抗体を用いた免疫組織学的解析により受容体発現がみられたが、パッチクランプを適用しGABA応答を観察すると、機能的なGABA-A受容体発現量が少なく、反応電流が非常に小さかった。その結果mutantとWild-typeの間での電流応答の比較検討が困難であった。電気生理学的解析を可能とする発現量得るため、DsRedをHAtagに置き換えた。この変更によりパッチクランプ適用下で十分な電流応答が見られたので、リン酸化およびパルミトイル化の候補部位に変異導入したbetaサブユニット、S408/9EおよびC288Aの2種類のmutantを作製し、各mutant+alphaおよびgammaサブユニットの組み合わせをもつ2つの細胞株を確立した。これらの細胞株におけるパッチクランプ適用下でのGABA応答をWild-type導入の細胞株と比較観察した。S408/9Eを含む細胞株では、GABA応答はほとんどみられなかった。一方でC288A細胞株ではGABA応答はみられたものの、Wild typeと比較すると統計学的有意に減少していた。以上から上記の部位はGABA-A受容体トラフィッキングを制御する部位であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)パッチクランプ解析が可能な発現量をもつ細胞株を確立した。 2)GABA-A受容体betaサブユニットにおいて細胞内トラフィッキングを制御するリン酸化およびパルミトイル化部位を同定した。さらにこの変異導入によってどの部位のトラフィッキングが妨げられているか組織学的に検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
1)新たなリン酸化関連のmutantとしてS408/9Aを導入し、電気生理学的解析を可能とする細胞株の確立を目指す 2)コンフォーカル顕微鏡を用い、mutantを含んだGABA受容体の細胞内分布がWild-typeと比較検討し、トラフィッキング過程のどの部位での障害かを検討する 3)電気生理学的解析として、GABA応答のみならず、麻酔薬によるGABA増強作用の違いをmutantとWild-typeで比較検討する
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