研究課題/領域番号 |
21K08944
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
松木 悠佳 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (10464083)
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研究分担者 |
真木 孝尚 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (60793841)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | イオンチャネル |
研究実績の概要 |
本年度は、Two-pore domain K+ channel (K2P) であるTREK1チャネルの発現系の確立を計画した。通常、当研究室で実験に使用するイオンチャネルは、大腸菌を用いて発現している。しかし、TREK-1チャネルの発現は、通常酵母を用いて行われる。酵母による発現系は、これまでの大腸菌による発現系と工程が大いに異なる。酵母による発現系に長けた分担者により、TREK-1チャネルの発現を行い、精度の高いチャネルの精製を目指した。さらに、ヒトTREK1チャネルの精製に関する報告も少なく、ヒトTREK1タンパク質の発現・精製法の構築を試みた。まずはじめに、GFP融合タンパク質としてヒトTREK1全長 (1-411 aa) を酵母に発現させたところ、細胞膜に局在したことから、ヒトTREK1は酵母内で機能体として発現すると推定した。次に、酵母を破砕し、アフィニティー精製を行ったが、TREK1の分解産物が多く十分な純度のタンパク質が得られなかった。そこで、機能ドメインを有するマウスTREK1の結晶構造を参考に、C末端側の細胞膜外領域を欠損させたヒトTREK1(1-323 aa)の発現・精製を試みた。その結果、酵母発現系より高純度のヒトTREK1 (1-323 aa) が精製できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトTREK1チャネルが高純度で精製する方法を確立することができた。
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今後の研究の推進方策 |
精製チャネルタンパク質の活性評価は、当研究室が開発した液滴接触二重膜法(Contact Babble Bilayer法; CBB法)で行う。まず、CBB法での活性評価系の構築のためTREK1と同じK2PであるヒトTRAAKを用いている。酵母発現系より精製したヒトTRAAKを脂質二重膜に再構成し、CBB法で解析したところ、これまでの報告通り、カリウムイオン選択性を示した。またTREK1やTRAAKは、膜の張力に応答する機械受容性チャネルとして知られ、CBB法は膜張力を自在に制御できる。CBB法で、ヒトTRAAKの膜張力への応答性を解析すると、張力の変化とチャネル活性に相関関係がみられた。したがって、CBB法は精製したヒトTREK1の活性評価も可能であると推定される。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、「TREK-1チャネル発現系の確立」であり、ほぼ研究計画通り行えたが、学会等への情報収集に行く機会が減ったため、旅費の使用が少なく、次年度使用額が生じた。 また、次年度は、「TREK-1チャネル1分子電流記録測定とその評価」を行う予定であり、実験の消耗品購入や学会費用に充てる予定としている。
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