我々は「敗血症誘発生高血糖症ではTxnipの発現上昇をトリガーとした炎症応答促進や細胞機能不全が病態悪化に関与し、Txnipの発現抑制が病態を改善させる」という仮説を立てた。その中でも、特に細胞内のグルコース欠乏が小胞体ストレスを引き起こすことから、TxnipのGlucose metabolismに着目し、GLUT1との結合を阻害することで病態が改善する可能性を考えた。これまではTxnipとGLUT1受容体との結合を阻害するという観点から、両者のタンパク間相互作用の解析にフォーカスを置いた研究を遂行し、研究協力者と共に、AlphaFold Protein Structure DatabaseならびにProtein Data Bankの構造をもとにHDOCKサーバーを用いてタンパク間相互作用の静的ならびにMolecular dynamics(動的)解析を実施した。その結果静的ならびに動的解析の両方において共通した複数の塩基を、タンパク間相互作用に関連する塩基と仮定し、In vitro実験を開始した。In vitro実験では、それらの塩基をmutagenesis kitを用いてアラニン変異を導入(αアレスチン変異体)し、タンパク間相互作用の消失を確認する方向で実験を計画した。塩基を絞り込むために、アラニン置換変異体の組みあわせを複数作成した。現在、どのTxnip変異体によって、GLUT1受容体のエンドサイトーシスが消失するかということを実験中である。
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