研究課題/領域番号 |
21K08953
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
荒谷 優一 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (40838421)
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研究分担者 |
栗山 俊之 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10405467)
川股 知之 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80336388)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 炎症性腸疾患 / 痛み関連分子Tmem45b |
研究実績の概要 |
9日間2%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を飲水させた対象マウス(WT)およびTmem45b遺伝子欠損マウス(KO)から摘出した大腸においてHE染色を行い、組織学的評価を行った。評価には炎症細胞の浸潤の程度、陰窩や腸管上皮の破壊の程度をスコア化したHistological Scoreを用いた。Histological scoreはWT 7.8、KO 9.5 (P = 0.006)であった。組織の破壊がすすめばhistological scoreは高くなる。KOにおいては組織学的にも大腸の破壊が進んでいることが判明した。 9日間2%DSSを飲水させたWTおよびKOから摘出した大腸において、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)染色を行った。200倍観察での1視野あたりのMPO陽性細胞数はWT 20.8,KO 48.8(P = 0.007)であった。このことからKOはWTと比較して好中球の浸潤が多いことが判明した。 大腸の痛覚過敏に対するTmem45bの役割を明らかにするために大腸へ挿入したバルーンの内圧を変化させ筋電図を測定した。測定は完了したが現在は結果の解析段階である。 以上の当該年度の結果から、組織学的にもKOはWTに比べて腸炎の重症度が高いことが判明した。またMPO陽性細胞数がWTにくらべてKOの方が多かったことからKOはWTと比較して好中球の浸潤が多いことが示唆された。 以上からTmem45bは炎症性腸疾患において腸炎の重症化に関与する分子である可能性が高い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は痛み関連分子であるTmem45bの炎症性腸疾患における役割を解明することである。前年度までの実験によってTmem45b遺伝子欠損マウスは対象マウスと比較して腸炎の重症度が高いことが判明していたが組織学的な評価は出来ていなかった。 当該年度の研究結果から組織学的にもKOはWTと比較して腸炎の重症度が高いことが判明した。Tmem45bは炎症性腸疾患において腸炎の重症化に関与する分子である可能性が高い。 今後Tmem45bと腸炎の痛みに関して研究を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
組織学的評価においてマクロファージの評価がまだできていない。過去の報告ではDSS誘発性の腸炎モデルマウスにおいてはマクロファージの大腸への浸潤も多いとされている。DSSモデルにおいてWTとKOでマクロファージの浸潤に関して検討する。 大腸への痛覚過敏に対する筋電図に関しての解析評価ができておらず解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額として155円が生じた。マクロファージの染色に関する実験が進んでいないことが原因である。 次年度には使用する予定である。
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