研究課題/領域番号 |
21K08954
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
花崎 元彦 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (60379790)
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研究分担者 |
千葉 義彦 星薬科大学, 薬学部, 教授 (00287848)
安藤 祐介 城西大学, 薬学部, 助教 (10805881)
倉橋 清泰 国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (50234539)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 虚血再潅流傷害 / 肺移植 / 麻酔薬 / マイクロRNA / RhoA/ROCK |
研究実績の概要 |
本研究計画は、肺虚血再潅流傷害後に認められる気管支平滑筋過敏性 (bronchial smooth muscle hyperresponsiveness: BHR) 形成のメカニズムについてmicroRNA (miRNA) あるいはlong non-coding RNA (lncRNA) レベルまで検討を行い、過剰収縮の根幹となるRhoA/ROCK系亢進との関連性を明らかにすることを目標としている。 研究代表者らが開発した細胞レベルで虚血状態を模倣する低酸素下培養システムを利用し、RNA-Seq解析を用いてnon-coding RNAsを含む各種遺伝子発現変動について網羅的解析を試みたところ、低酸素暴露により各種non-coding RNAの発現変動とともにある種のシグナル経路の著明な亢進が認められることを前年度までに確認した。本年度は、低酸素暴露がRhoA/ROCK系に及ぼす影響について検討を行った。 培養ヒト気管支平滑筋細胞 (human bronchial smooth muscle cells: hBSMCs) を通常酸素濃度下 (21% O2) および低酸素条件下 (5% O2および1% O2) にて培養したところ、1% O2暴露によりROCK1およびROCK2のmRNA発現レベルが有意に増大した。一方、RhoA mRNAレベルには発現変化が認められず、RhoAタンパク質発現も正常レベルであり、研究代表者等の過去のin vivo虚血再灌流モデルとの不一致が生じた。 したがって、低酸素状態に加えて、in vivo虚血再灌流時に変動する他の因子がRhoA up-regulationに関与している可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
おおむね順調に進展していたが、上述の通り、研究代表者らの従来の報告とは一致しないデータが得られ、その再現性確認に想定外の時間を要した。そのため、本研究課題の次年度への延長を考慮した。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り、低酸素刺激のみではin vivo虚血再灌流モデルで認められるRhoA up-regulationを再現することができなかった。一方、これまでのRNA-Seq解析結果よりLEPやADN1、MT3等の遺伝子が酸素濃度依存的に増加することも見出しており、これらの遺伝子産物による共刺激がRhoA発現増大に必須である可能性が考えられる。低酸素とこれら因子の共培養条件下で検討を行うことにより、この点について証明していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
上述の通り、研究代表者らの従来の報告とは一致しないデータが得られ、その再現性確認に想定外の時間を要した。その結果、予算執行計画に遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 低酸素+他因子(leptinを予定)の条件で暴露したhBSMCより得られたサンプルについて、ウェスタンブロットやリアルタイムPCRなど生化学的解析を行うための消耗品(試薬、抗体)に用いる。
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