研究課題/領域番号 |
21K08956
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
中村 紗英 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (50899383)
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研究分担者 |
木田 康太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70385318)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 一酸化窒素 / 蘇生後記憶障害モデル / 心肺蘇生モデル / 海馬アポトーシス |
研究実績の概要 |
突然の心停止は先進国において主要な死因である。蘇生法の進歩にも関わらず、心停止の誤の死亡率は依然として高いままであり、仮に生存した場合にも多くの患者には障害が残る。一部の患者には記憶障害、注意障害、注意機能障害などの高次機能障害が残ることが知られているが、蘇生後高次脳機能障害の動物モデルは存在せず基礎研究も進んでいない現状がある。 我々はマウスを用いて心停止・心肺蘇生モデルを作り、自己心拍再開後に一酸化窒素(NO)を吸入することにより脳浮腫が軽減することを発見した。また、予備実験の結果から蘇生後のマウスでは記憶が障害されていることが明らかになった。 以上のことより、本研究の目的はNO吸入による蘇生後の記憶障害に対する予防効果を検証する事である。これまでに蘇生後の記憶障害モデルは存在せず、短時間の心停止によるマウス蘇生後記憶障害モデルを確立できれば、この後の基礎研究の発展に貢献できると考えられる。さらにNO吸入により記憶障害の改善効果が認められれば、新しい治療戦略として臨床応用に繋げることが可能である。 昨年度はマウス蘇生後記憶障害モデルを作製する上で必要な手術手技の獲得(挿管、動脈/静脈カテーテル確保)を行った。これらの手技は問題なく確保できたが、心停止後に蘇生を行う段階で死亡症例が多くデータ収集が困難であった。今年度は心停止・心肺蘇生モデルの安定化および蘇生後記憶障害モデルの確立を行う方針である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度はマウス蘇生後記憶障害モデルを作製する上で必要な手術手技(挿管、動脈/静脈カテーテル確保)を安定して行える技術を獲得した。しかし、心停止から自己心拍再開までの技術が安定しない状態であり、こちらの原因究明に時間を要している。現時点の原因としては麻酔薬の過量投与、心肺蘇生に必要な持続投与薬の投与量不足が挙げられている。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では、麻酔薬の過量投与、持続投与薬の投与量不足などの原因が考えられており、今後はこれらの点を改善させ、安定した心停止・心肺蘇生モデルを行う。その後、Morris water maze testを行い蘇生後記憶障害の発生に関してデータを取っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
心肺蘇生モデルの作成が遅れており、Morris water maze testを実施する為の物品を購入できていないため。今年度モデル作成が完了次第、購入予定である。
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