研究課題/領域番号 |
21K08960
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
原 幸治 産業医科大学, 大学病院, 准教授 (20331001)
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研究分担者 |
寺田 忠徳 産業医科大学, 医学部, 講師 (10399206)
原西 保典 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (90449942)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 神経障害性疼痛 / 中枢神経 / スフィンゴシン1リン酸受容体 |
研究実績の概要 |
Bennett and Xieの方法で、末梢性神経障害性疼痛モデル(CCI)を作製した。雄Sprague-Dawleyラットを三種混合薬の腹腔内投与による麻酔下に左側大腿骨上の皮膚を切開し、坐骨神経を4.0-silk糸で4箇所緩く結紮した。処置後4日目から左側下肢に機械・熱・冷痛覚過敏が出現した。別のラットには坐骨神経を剥離・露出のみを行うsham手術を行い、痛覚過敏の出現が坐骨神経の結紮によることを確認した。薬物を髄腔内に投与するため、CCIモデルの作製に続いて麻酔下に大槽から尾側にポリエチレンカテーテル(PE-10)を8cm挿入した。処置から7日後に30Gマイクロシリンジで薬物群にはスフィンゴシン1リン酸受容体サブタイプ1(S1P1)の機能的阻害薬であるFTY720(100-500μg)、別のS1P1受容体阻害薬のEx26(100μg)、S1P1受容体作動薬のCYM5442(100μg)を、コントロール群には溶媒の50%DMSO溶液をカテーテルから10μL投与した。投与30、60、120、180、240分後に①フォン・フライ試験(機械痛覚過敏を評価)、②プランター試験(熱痛覚過敏を評価)、③コールドプレート試験(冷痛覚過敏を評価)を行った。その結果、FTY720は用量依存性に①で痛覚閾値を上昇させ、③で逃避反応潜時を延長させたが、②の逃避反応潜時には影響を与えなかった。Ex26はFTY720と同様に①の痛覚閾値を上昇させ、③の逃避反応潜時を延長させたが、②の逃避反応潜時には影響を与えなかった。一方、CYM5442は①で痛覚閾値を低下させ、③で逃避反応潜時を短縮させた。以上の結果から髄腔内に投与したS1P1受容体阻害薬は機械および冷痛覚過敏を抑制し、作動薬は増強させることが分かった。脊髄のS1P1受容体は侵害受容伝達の調節に関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脊髄におけるスフィンゴシン1リン酸受容体サブタイプ1(S1P1)の阻害薬と作動薬の痛覚閾値への影響を調べることによりS1P1受容体が脊髄で侵害受容伝達の調節に関与していることが分かったため。
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今後の研究の推進方策 |
S1P2、S1P3、S1P5受容体サブタイプの阻害薬を髄腔内投与し、S1P1以外の受容体サブタイプが脊髄で侵害受容伝達の調節に関与しているか検討する。髄腔内投与に引き続き脳室内投与により脳内での各種受容体阻害薬あるいは作動薬の作用を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(次年度使用額が生じた理由) ラットと試薬の購入に所属機関の研究費を使用したことに加え、今年度は複数の老朽化している実験装置が故障しなかったため修理費や再購入費が掛からず未使用額が生じた。 (使用計画) ラット、試薬(麻酔薬および各受容体サブタイプ作動薬/阻害薬)、脳室ガイドカニューレならびに実験結果の解析に必要なPCとソフトウェアを購入する。また処置を効率化するため手術台を1台増やす計画である。
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