研究課題/領域番号 |
21K08966
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
浅野 伸将 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (30456470)
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研究分担者 |
新谷 則之 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (60456473) [辞退]
熊倉 康友 山梨大学, 大学院総合研究部, 臨床助教 (00530130)
石山 忠彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (90293448)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 気腹 / 脳微小循環 / 脳浮腫 |
研究実績の概要 |
腹腔鏡手術で極度の頭低位が直接的に脳に対しどのような影響を与えるのか検討した。近年増加している腹腔鏡手術では長時間の頭低位、気腹による合併症が報告されている。頭低位により、脳還流圧の低下、頭蓋内圧の上昇、脳浮腫が起こることが報告されているが、脳循環に対する直接的な影響を調べた報告は少ない。腹腔鏡手術で極度の頭低位が脳循環に与える直接的影響を調べるため、ニホンシロウサギを用いて、極度の頭低位での腹腔鏡手術を再現し、脳血流と脳組織を調べることにした。 ニホンシロウサギを麻酔導入した後、気管切開を行い人工呼吸管理とした。麻酔導入後、大腿動脈から動脈圧ラインをとった後、脳にはクラニアルウインドウを作成し血管径を経時的に測定した。腹部に二酸化炭素送気用のポートと、気腹圧測定用の管を挿入し、二酸化炭素分圧が8~10㎜Hgになるよう に調整することで腹腔鏡手術を再現した。また、2時間の気腹終了後、脳浮腫評価目的で脳組織を採取した。 気腹なし群、気腹あり群、頭低位+気腹あり群の3群で比較し、体位と気腹による脳血管径の推移と、脳組織採取による脳浮腫の程度を評価した。 気腹中は脳血管が拡張し、平均血圧が上がっていることから、気腹中は血流が増加していることが示唆された。実験終了後脳組織を採取し、脳浮腫の程度を調べたが3群とも有意差を認めなかった。2時間の気腹頭低位では脳浮腫に影響を及ぼさないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
気腹頭低位が脳循環に及ぼす影響を調べ、論文化しBMC anesthesiologyに掲載された。Infuence of pneumoperitoneum and head-down maneuver on the cerebral microvasculature in rabbits https://doi.org/10.1186/s12871-022-01911-2
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今後の研究の推進方策 |
今回の実験で2時間の気腹頭低位では脳浮腫に影響を及ぼさないことが示唆されたが、長時間の気腹頭低位では脳浮腫が起こるという報告が存在する。 浮腫が起こる一因に血管内に存在するグリコカリックスの破綻が寄与している可能性があり、脳浮腫も脳血管内でグリコカリックスが破綻することで引き起こされるのではないかという仮説を立てそれを検証することにした。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでの経験上、実験中に死亡するウサギがいたり、クラニアルウインドウがうまくできず実験データが取れないことがあった。しかし想定以上に順調に実験が遂行したことから次年度使用額が生じた。 この助成金は、次年度でグリコカリックスの構造を電子顕微鏡で観察したり、ELISAを行うことに使用する計画を立てている。
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