研究課題/領域番号 |
21K08969
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 具治 京都大学, 医学研究科, 准教授 (10402893)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | アストロサイト / 低酸素 / 微小管 |
研究実績の概要 |
揮発性麻酔薬がアストロサイトに対してどのように作用するかということは現在ほとんど未知であると考えられるが、申請者は、過去アストロサイトの低酸素応答、とくに低酸素誘導性因子(Hypoxia-inducible factor:HIF)-2を介する反応が複数の揮発性麻酔薬によって共通して抑制されることを報告してきた。今回、アストロサイトにおける低酸素応答全体への揮発性麻酔薬の影響とそのメカニズムについて検討する。本研究の目的は、アストロサイトの低酸素応答に揮発性麻酔薬が及ぼす影響の全体像を明らかにし、またそのメカニズムを検討することによって、揮発性麻酔薬の本質的な薬理作用にせまることである。麻酔薬のグリア細胞、とくにアストロサイトに対する作用についてはこれまでほとんど研究されていない。本研究では、低酸素という条件下ではあるが、揮発性麻酔薬のアストロサイトに対する作用を、“HIF-2の抑制”という手がかりを使ってさらに深化させることができると考えている。予備実験からは、揮発性麻酔薬がHIF-2関連遺伝子だけではなく、BCL2やBNIP3といったp53関連遺伝子群の誘導を抑制する結果が得られており、アストロサイト対する揮発性麻酔薬の作用は、HIFに対するものだけではない可能性が高い。脳におけるアストロサイトの重要性が近年の研究により明らかになってきていることもあわせて、申請者の研究は、揮発性麻酔薬の作用の研究において新たなきっかけを与えるものと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid-19パンデミックのため、一時的に動物実験を行うことができず、アストロサイトの初代培養系の実験を行うことができなかった。現在は復旧している。
|
今後の研究の推進方策 |
マウス由来初代培養アストロサイトを使用し、低酸素環境下でのHIF(とくにHIF-2α)mRNAをリアルタイムPCR法、HIFタンパク合成・分解をMG132(HIF分解抑制剤)・CHX(HIF合成阻害薬)投与下のイムノブロット法で検討し、揮発性麻酔薬がHIF-2の転写・翻訳・分解のどのステップに作用しているかを明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19パンデミックにより動物実験を停止したため。
|