神経障害性痛モデル(SNL)ラットを用いて、加齢が痛覚発症機序に与える影響を検討した。若年ラットは高齢ラットと比較して、刺激による痛覚過敏様行動の発生頻度が高かった。障害神経繊維の刺激反応性には年齢差はなかったことから、加齢による痛み増強は上位中枢機序が関与すると考えられた。次に、SNLラットの海馬でのBDNF発現およびサイトカインレベルを検討した。その結果、SNL手術により、高齢ラットでは若年ラットと比較して海馬BDNF発現が有意に低下し、炎症性サイトカインの上昇が生じていた。また、海馬BDNF発現量および炎症性サイトカインレベルが痛覚過敏様行動の発現頻度と有意に相関していることが示された。
|