研究実績の概要 |
掻痒の知覚、熱性痛覚過敏に関与するTRPV1、TRPA1がIL-31RAと共発現していることが報告されている。当教室で研究しているTmem45bという分子は機械性痛覚過敏に深く関わっている。しかし、熱性痛覚過敏には関与せず、TRPV1、TRPA1と共発現している。IL-31RA、TRPV1と共発現しているTmem45bは掻痒に関わっているのではないかと考えた。wildマウスの後根神経節に対して免疫染色とin situ ハイブリダイゼーションを行い、IL-31RA、Tmem45b、TRPV1の3重染色を行ったところ、Tmem45b陽性かつTRPV1陽 性の細胞のうちIL-31-RAも陽性であったものは60%認められ、高率に共発現していた。IL-31RA、Tmem45b、TRPV1の間には掻痒に関する関連性があると考えられる。 マウスに対して掻痒誘発物質(IL-31、ヒスタミン、クロロキン、SLIGRL、Compaund48/80)の投与を行い、掻爬回数を評価したところ、wildマウスに比較して Tmem45bKOマウスは溶媒投与では掻爬回数に差がなかったものの、IL-31、Compound48/80で掻爬回数が有意に低いことが行動実験として示された。(128.3 ± 28.4 vs 89.6 ± 24.1, p = 0.0297)。また、モデルマウスとしてDFNBやイミキモドを使用したアトピー性皮膚炎モデルを作成し、同様に掻爬回数を測定した。wild、Tmem45bKOマウスで明かな差がないことが認められた。これらの結果をもって論文を執筆中である。論文査読者から指導があれば追加実験などを行う予定としている。
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