研究課題/領域番号 |
21K08982
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
高木 俊一 日本大学, 医学部, 准教授 (20308464)
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研究分担者 |
北島 治 日本大学, 医学部, 助教 (20772776)
鈴木 孝浩 日本大学, 医学部, 教授 (60277415)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 限外濾過法 / ロクロニウム / 蛋白結合率 / 超遠心分離法 |
研究実績の概要 |
ロクロニウムの血漿中濃度の測定は、通常測定法として当施設では確立されている。これに対して、ロクロニウムの蛋白結合率を測定することは国内外において現在測定している施設はないため、測定法の確立が必要である。 ロクロニウムの蛋白結合率を測定するために必要なことは、血漿全体から蛋白結合しているロクロニウムを正確に分離することである。蛋白結合率の測定法には、限外濾過法、超遠心分離法、平衡透析法がある。過去にある他の研究で使用された方法は限外濾過法のみであり、研究に用いられた限外濾過フィルターは既に入手不可能であるため、適切な限外濾過フィルターを選定することが必要となる。検討したフィルターは、①Merck社製 Amicon Ultra-0.5 CentrifigugalFilter、②Pall社製 Nanosep 30K/24、③Merck社製 Centricon3 microconcentator(現在入手不可)、④Merck社製、Centrisart I centrifugal ultrafiltrationの比較検討を行った。遠心は4600rpm、100分、常温で行った。 結果は、①、②はロクロニウムがセルロースに吸着して透過が低くなった。③、④はそれぞれ42.8%、35.6%とこれまでの報告と同様であった。吸着がないこと、再現性があること、入手が可能であることから④が適した限外濾過フィルターであることが確認できた。 また、超遠心分離法による蛋白結合率の検討も行い、遠心は90000rpm、4時間とした。2回測定したところ、39.5%、40.1%と再現性のある結果が得られた。このことから超遠心法も同様にロクロニウムの蛋白結合率の測定に使用できる可能性があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロクロニウムの血漿中濃度の測定は、他の研究のためにも行っているため、確立されている。これに対してロクロニウムの蛋白結合率の測定している施設はなく、過去の研究に使用されていた限外濾過法において使用されたフィルターは現在入手できないため、限外濾過法および、超遠心分離法を検討した。限外濾過法にて使用可能なフィルターを同定することができた。加えて、超遠心分離法でも同様の結果が得られることが分かった。 ロクロニウムの蛋白結合率を安定して測定できることが立証できたため、臨床データの測定の段階に入ることが可能となったため順調に進展していると判断するに至った。
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今後の研究の推進方策 |
ロクロニウムの蛋白結合率の測定法が確立できたため、研究計画にある通り対象症例から採血する段階へ進める状況となった。 ①年齢、性別、筋弛緩深度や病態によるロクロニウムのタンパク結合率への影響の検討と②スガマデクス投与量によるロクロニウムのタンパク結合率への影響を検討する。それぞれの検討内容は以下である。 ①年齢、性別、筋弛緩深度や病態によるロクロニウムのタンパク結合率への影響の検討として、1. 年齢検討:20-45歳(15例)および70才以上(15例)の2 群比較、2. 性別検討:20-65歳の男性(15例)および女性(15例)の2群比較、3. 腎機能障害検討:血液透析(15例)および正常腎機能(15例)の2群比較、4. 肝機能障害検討:プリングル法を用いる肝切除症例(15例)および正常肝機能(15例)の2群比較 ②スガマデクス投与量によるロクロニウムのタンパク結合率への影響の検討として、筋弛緩深度検討:PTC1-2(深い筋弛緩状態)、または、TOFカウント2(浅い筋弛緩状態)から筋弛緩状態においてスガマデクス投与によるTOF比90%、TOF比100%の時のロクロニウムのタンパク結合率測定(各15例)
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度にPCを購入予定であったが業者からの納品が送れたことから購入することができなかったため。 令和4年度に購入予定である。
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