担癌患者終末期の病状変化に関する知見の集積は「Good Death」を迎える患者とその家族を支援するという観点から重要な課題の一つである.担癌患者終末期にバイタルパラメータの測定を目的とした測定装置の絶え間なく装着しつづけることは患者の負担につながるため実施困難であった。そのため、担癌患者の臨死期のバイタルパラメータの変化に関する知見は限られている。 一方で,既存研究で緩和医療に従事する看護師は患者の死が数日以内に差し迫っていることを予覚可能であると報告されている。しかしながら、担癌患者のバイタルパラメータを患者に負担をかけずに集積することが困難であったため,担癌患者の病状変化に対する看護師の予覚と患者の客観的なバイタルパラメータの変化に関する知見は限られている。 そこで、担癌患者の臨死期のバイタルパラメータの変化と死が切迫していると察知する看護師の予覚に関する関係を非接触型かつ非拘束型のバイタル測定機器を用いて明らかにすることを起案した. 令和4年度は、科研費により非拘束型かつ非接触型のバイタルパラメータの測定装置を購入した。この測定装置を千葉県がんセンター緩和医療病棟に入院した患者を対象にして、当該研究の内容および妥当性、倫理的な側面や医学的な重要性、および妥当性について十分な説明を行い、研究参加の同意を得たうえで装着した。40名の入院患者さんから研究参加協力を得て、解析に必要なデータ取得を完了した。 令和5年度は、40名のデータを解析し,癌終末期の余命1週間以内で生じている看護師の行動変化とその行動変化に関連して生じていた呼吸不安定性とベッド上体動変化に関する知見の要旨を第57回麻酔科例会で口演発表した.
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