本研究では敗血症モデルマウスにおけるMyl9-CD69系の関与について研究を行った。 敗血症モデルは盲腸結紮穿孔モデル(Cecal ligation and puncture 以下CLPモデル)を使用した。これはマウス盲腸を結紮したのち針で穿通し細菌性腹膜炎を模することで敗血症モデルとする。盲腸の結紮部位および穿通する針の太さによって重症度を調整することも可能である。このCLPモデルマウスを用いて細菌性敗血症モデルマウスにおけるMyl9の関与を検討した。 Myl9の関与の検討についてはCLPモデルマウスの肺組織標本についてMyl9の関与の際に特長的に出現するMyl9netが形成されるかどうかを各重症モデルマウスで検証した。しかし重症度を変更してもMyl9netの形成を得ることはできず、最終的に24時間で50%が死亡する死亡率の、一般臨床でも遭遇が少ないレベルの重症度のマウスで検討を行ったがMyl9netの形成は確認できなかった。 また同時期に進めていた臨床における各病態での血中Myl9濃度の計測において、敗血症患者の血中Myl9濃度がCovid19患者の血中Myl9濃度に比較して明らかなに低値であることがわかり、細菌性敗血症の病態にMyl9の関与は乏しいという結論に至った。
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