研究課題/領域番号 |
21K09015
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
川本 英嗣 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (20577415)
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研究分担者 |
島岡 要 三重大学, 医学系研究科, 教授 (40281133)
朴 恩正 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (20644587)
赤間 悠一 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (40763313)
高娃 阿栄 三重大学, 医学系研究科, 助教 (50643805)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 細胞外小胞 / 敗血症 / SIRS / インテグリン / PD-L1 |
研究実績の概要 |
血漿中の細胞外小胞(EV)は、がんや炎症性疾患の発症に重要な細胞間コミュニケーションを仲介している。EVは、標的特異性を制御するインテグリンや、リンパ球の活性化を抑制するプログラム細胞死リガンド1、2(PD-L1、2)などを発現している。しかし、全身性炎症反応症候群(SIRS)や敗血症におけるEV上のこれらの分子の役割については、ほとんど解明されていない。今年度は、SIRSおよび敗血症におけるインテグリンおよびPD-1リガンドのEV発現が、健常対照者と比較してどのように異なる可能性があるかを調べ、その発現と病態を反映する臨床パラメータとの相関を検討した。敗血症を伴わないSIRS患者27人、敗血症患者27 人、健常ボランティア18人を対象とした。血漿試料からEVを分離した。3つの主要なインテグリン(β1、β2、β3インテグリン)、PD-L1および2の発現を測定した。β2インテグリンとPD-L2のEV発現は、健常対照者と比較して敗血症患者で有意に増加した。PD-L1のEV発現は、敗血症およびSIRSでは上昇しなかったが、循環血中可溶性PD-L1濃度(エキソソーム含有)は敗血症で有意に高値であった。さらに、敗血症患者におけるβ2インテグリンのEV発現は、低血圧および腎機能低下と相関していた。さらに、可溶性PD-L1レベルは、敗血症の重症度、腎機能障害、中枢神経系機能障害と相関していた。これらの結果は、多臓器不全につながる全身的な免疫活性化を伴う敗血症の病態に、EVのβ2インテグリンだけでなく、EVのPD-L2や可溶性PD-L1が関与している可能性を示唆していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
重症患者の血液採取が予想より早くできたため。
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今後の研究の推進方策 |
患者血液データの解析を早めて論文作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)予定より安価で試薬購入が可能であったため。 (使用計画)エクソソーム表面抗原の試薬(消耗品)の購入に使用する予定である。
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