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2023 年度 実施状況報告書

インターフェロン制御因子5を標的とした急性呼吸窮迫症候群の分子標的治療の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K09025
研究機関横浜市立大学

研究代表者

竹内 一郎  横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (90327346)

研究分担者 西井 基継  横浜市立大学, 医学部, 講師 (20383573)
田村 智彦  横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (50285144)
小川 史洋  横浜市立大学, 附属病院, 助教 (80383610)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードARDS、急性呼吸急迫症候群
研究実績の概要

Acute Respiratory Distress Syndrome(ARDS)は、重症の肺炎や敗血症などにより引き起こされる深刻な呼吸困難を伴う疾患であり、現在有効な治療法が限定的であるため、新たな治療法開発が急務となっている。これに対して我々は、ARDSの病態進展のメカニズムを明らかにすることを目指し、二つの研究を進めた。
リポポリサッカライド(Lipopolysaccharide; LPS)誘発ARDS動物モデルの作成: 経気道的にリポポリサッカライド(LPS)を投与し、ARDSを誘発する雄性C57BL6Jマウスのモデルを作成した。6-8週齢(体重20-22g)の雄性C57BL6JマウスにLPSを経気道投与することで、人間のARDSの病態を再現する動物モデルを作成した。LPSでのARDS誘発モデルは作成したが、インフルエンザ誘発ARDSモデルの作成には難渋し、そのためモデルの解析に至らなかった。COVID-19由来の重症ARDS患者から採取したBALF検体を用いてRNAseq解析を行うことで、遺伝子発現プロファイルを詳細に調査した。IRF5の発現量がARDSの発症や進行といった臨床的指標と統計学的に関連することを検討した。RNAseq解析を行い、PCA解析を実施したところ、2群に分かれた(PC2-high, PC2-low)。PC2-high群ではIRF5をはじめとするIFNシグナルの増強が認められ、PC2-low群ではその低下が観察された。さらに、PC2-high群では死亡率が有意に高いことが判明した。この2群は一般的な臨床指標では群間差を認めず、IRF5の発現の有無がARDSの異質性を捉えるバイオマーカーとなる可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

臨床研究ではBALによりARDSの異質性を捉えることができ、IRF5が関与している可能性が示唆された進捗を認めたが、動物モデルではインフルエンザ誘発のARDSモデルの作成に至らず病理学的解析に至らなかった。

今後の研究の推進方策

今後は、本研究で判明したARDSのフェノタイプの病態生理学的な意義を解明するために、2群間の経路解析およびタンパク発現のパスウェイ解析を進め、ARDSの異質性の病態解明を目指していく。また、インフルエンザ誘発ARDSモデルの作成にも引き続き取り組み、遺伝子改変マウスモデルを繁殖させ、ARDSにおけるIRF5の機能的役割を分子免疫学的アプローチや病理形態学的解析を通して詳細に検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究の進行が予定計画より遅れ、そのために研究期間を延長する必要が生じたため。
令和6年度はARDSにおけるIRF5の機能的役割を分子免疫学的アプローチと病理形態学的解析を行う。

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公開日: 2024-12-25  

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