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2023 年度 実績報告書

オミクス解析から心停止症候群の病態を解明し新規治療法を開発する

研究課題

研究課題/領域番号 21K09029
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

佐々木 淳一  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (90235250)

研究分担者 本間 康一郎  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (10383762)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード心停止症候群
研究実績の概要

背景:近年、心停止患者の蘇生に体外式膜型人工肺(ECMO)を用いた蘇生、ECPR戦略が注目されている。現在、ECPR後の転帰を改善する薬物治療は存在しない。本研究では、オミクス解析を用いて検討を行った。
方法:心停止モデル動物を作成し、ECPRで蘇生させ、プラセボまたはH2ガス治療群にランダムに割り当てた。ECMO膜および機械的換気を通じてO2とともに試験ガスを投与した。生存時間、脳波(EEG)、脳機能、脳組織酸素化を測定し、Syndecan-1(内皮損傷のマーカー)、サイトカイン、ケモカイン、血漿代謝物のレベルの変化をオミクス解析から評価した。
結果:H2群の4時間生存率は77.8%であり、プラセボ群は22.2%であった。Kaplan-Meier分析によると、H2は4時間生存エンドポイントを有意に改善した(対プラセボでlog-rank P = 0.025)。H2治療を受けたすべての個体でEEG活動が回復したが、プラセボ治療を受けた全ての個体ではその効果を認めなかった。H2治療は、蘇生中の脳組織酸素化を顕著に改善し、ECPR後の中心静脈圧の上昇を抑制した。H2は、Syndecan-1レベルの増加を抑制し、インターロイキン-10、血管内皮成長因子、レプチンレベルの増加を強化した。さらに、オミクス解析による代謝物分析では、ECPR後2時間で両群間にd-グルタミンおよびd-グルタミン酸代謝における有意な変化を同定することができた。
結論:H2治療は、ECPRで蘇生した心停止動物の死亡率を改善し、脳電気活動を回復させた。この機序の1つとして、内皮損傷に対する保護効果が考えられる。さらに、オミクス解析より新規治療ターゲットとなりうる代謝経路を見出すことができたため、今後詳細な検討を行っていきたい。

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公開日: 2024-12-25  

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