研究課題/領域番号 |
21K09033
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
平湯 恒久 久留米大学, 医学部, 助教 (00647745)
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研究分担者 |
高須 修 久留米大学, 医学部, 教授 (90236216)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 熱中症 / 播種性血管内凝固症候群 / DIC / 血管内皮障害 / 細胞外小胞 |
研究実績の概要 |
熱中症急性期に起こる血小板の低下や播種性血管内凝固症候群(DIC)、肝・腎・脳を中心とする臓器障害には、血管内細胞障害が一因と考えられ、血小板の活性化に伴って放出される血小板由来蛋白や血小板由来細胞外小胞が病態の形成や修飾、修復に深く関わっていると推測している。健常マウスの血小板から抽出・調整される血小板由来物質が、重症熱中症で生じる血管内皮障害の修復に寄与し重症熱中症の病態を改善しうるか否かを検討するために、まずは健常マウスからの血小板由来物質の作成を行なった。 15±1週齢マウスを用いて採血を行い、洗浄血小板を作成し凍結/融解を3回繰り返すことで血小板を活性化させた。その後、超遠心法にて2万Gで遠心し、さらに10万Gで遠心することで血小板由来蛋白、血小板由来細胞外小胞(2つの分画)の3つに分けることができた。血小板由来蛋白ではELISAでAngiopoietin-1の濃度が上昇していること、血小板由来細胞外小胞はnanoparticle分析でサイズが異なる分画に分けられていることが証明できた。 次に、熱中症の熱中症マウスモデルを作成した。インキュベーター内に水を入れることで湿度80%以上の多湿環境を再現した。温度設定はインキュベーターの温度設定で変更することで高温多湿環境を作成した。18±2週齢マウスの腹腔内にボタン型温度データロガーを埋め込み2週間後にマウスに問題がないことを確認した上で実験に使用した。37℃の多湿環境に1時間、41℃の多湿環境に1時間マウスを入れて実験を行ったところ、37℃では死亡率は少ないが41℃では死亡率が高く、今後温度調整、時間調整が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
重症新型コロナウイルス感染症診療のために実験が遅れた。 血小板由来蛋白、細胞外小胞の抽出・分離はできているため、来年度以降マウスを使用し実験を継続していく。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度実施した高温多湿環境(41℃、1時間)では致死率が高かった。腹腔内の温度は30分でピークに達し、その後体温が下がってきていることから30分後には死亡していた可能性も考えられるため、暴露温度・時間を調整していく。その上で、暴露24時間後の採血で血小板低下を伴う温度・時間を探索し熱中症マウスモデルを完成させ、熱中症マウスモデルの血小板由来小胞数、血管内皮障害に係るサイトカインの測定などを行なっていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症診療のために実験が遅れているが、2022年度は培養細胞を用いた実験、マウスを使用した実験、ELISAを用いて血管内皮障害における各種メディエーターの測定を行なっていく。
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