心停止患者の自己心拍再開率は著しく向上しているが、その後の患者の神経学的予後は極めて不良なままである。この神経学的予後に介入できる治療の探索が求められている。我々は、心停止蘇生直後に激烈な線溶亢進を認めること、その線溶亢進の程度が強い患者群では神経学的予後が不良であることを臨床研究で明らかにしてきた。この、激烈な線溶亢進はt-PA(tissue-plasminogen activator)とプラスミンの著増により生じているが、このt-PAとプラスミンは線溶系とは別の経路(組織線溶)で中枢神経系への直接的な影響を持つことが、他の培養細胞等を用いた検討から明らかになってきている。本研究では、心室細動誘発心停止蘇生後ラットモデルを用いて、蘇生直後の線溶状態に介入することにより、神経学的予後の改善が得られるか否かを検証することを目的とした。 ラットの心室細動心停止蘇生後モデルを作成した。Controlとしての非心停止群と、心停止群として蘇生後5分と180分。心停止にトロンボモジュリンを投与した群の蘇生後5分と180分のそれぞれ7匹ずつの血液検体は収集できた。この血液検体を用いて、神経障害マーカーとしてNSE、Tight-junction蛋白としてClaudin-5、線溶亢進の指標としてPlasmin-antiplasmin complexとtPA抗減量、凝固の活性化の指標として可溶性フィブリンを測定した。病理学的評価は、実験の遅れのため実施できなかった
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