研究課題/領域番号 |
21K09039
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
林 洋輔 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (60867266)
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研究分担者 |
松村 洋輔 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (00466707)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | REBOA / IRI / Partial REBOA / organ perfusion / Occlusion tolerance / 出血性ショック |
研究実績の概要 |
出血性ショックの蘇生で用いられるResuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta (REBOA) は動脈性出血の制御と中枢臓器灌流維持が期待される一方,遠位臓器虚血と虚血再灌流障害 (Ischemia-reperfusion injury, IRI) による下肢切断,多臓器不全,死亡転帰を辿る場合がある.バルーン部分遮断 (Partial REBOA, P-REBOA) は完全遮断に比して虚血性合併症が発生しにくいとの報告はあるが, 遮断強度・遮断時間とIRIの重症度の関係や有効な治療についての検証はない. 類似病態として,敗血症や急性下肢動脈閉塞などサイトカインストームを伴う病態ではpathogen-associated molecular patterns (PAMPs) やalarminなどの液性因子を除去し病態改善に寄与する治療法として血液浄化療法がある.Post-REBOA IRIにおいても同様の病態が存在する可能性が高く,Post-REBOA IRIにおけるバイオマーカーの探索とP-REBOAの虚血強度との関連を明らかにし,血液浄化療法を用いたPost-REBOA IRIの制御法確立が本研究の目的である. まず全身麻酔下に生体ブタの右頚部,鼠径部において外科的に動静脈を露出,カテーテルを留置した上で,瀉血による出血性ショックモデルを作成した.予備実験としてREBOAのバルーン注入容量を変化させ,出血性ショックモデルにおいてREBOAによる大動脈遮断をし,乳酸値やカリウムなどのpoint-of-careのバイオマーカーを測定した. 現在,血液浄化療法の資機材確保をしてその導入準備を行っている.今後血液浄化療法を含めた実験系を確立し,バイオマーカー測定とIRI制御の効果について検証する.また,腸管,肝臓,腎臓などの病理学的変化もあわせて解析する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度達成した出血性ショックモデルの作成やバイオマーカー測定に加え,血液浄化療法の資機材確保や生体ブタにおけるバスキュラーアクセスの確保,血液浄化療法の実験試行を行った。バスキュラーアクセスカテーテル挿入のためカットダウンによる血管確保や挿入後の固定を安定して行う技術や血液浄化療法施行中の麻酔管理の習得,血液浄化量や血液浄化療法に伴う抗凝固療法の検討などを行い,順調に安定した実験モデルを確立することができた. しかしながら新型コロナウイルス感染症蔓延のため臨床への対応を余儀なくされ,当初予定していたよりも実験を行う十分な時間を確保できず予定していた実験回数を行うには至らなかった. 上記を鑑み『2.』を選択し,次年度に研究遂行することで実験継続困難となるほどの遅延はない.
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今後の研究の推進方策 |
出血性ショックモデルにおける血液浄化療法の再現性を持つ実験系を確立することができた.これをもとに血液浄化療法の有無で比較したデータを取得すべく,研究を推進する. 実験が完了次第,論文投稿や学会発表を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた実験回数の確保に至らず,これは次年度に必要な経費として繰り越して用いる.
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