研究課題/領域番号 |
21K09043
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
丸山 一男 三重大学, 医学系研究科, 教授 (20181828)
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研究分担者 |
澤田 博文 三重大学, 医学系研究科, 講師 (30362354)
丸山 淳子 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 教授 (50263017)
三谷 義英 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (60273380)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Sugen / hypoxia / ATOH8 |
研究実績の概要 |
ATOH8(human atonal homolog 6, Hath6と同義)は、内皮選択的ずり応力反応転写因子であり、bone morphogenetic protein(BMP)で誘導される転写因子である。最近、申請者らは、ATOH8欠損マウスでは、慢性低酸素暴露による肺高血圧の発症が増強することを報告した(Science Signaling 2019)。本課題では、4つの実験的肺高血圧ラットモデル(慢性低酸素肺高血圧ラット、炎症性肺高血圧モデルであるモノクロタリン肺高血圧ラット、内膜増殖モデルであるSugen/hypoxiaラットおよびBMP2R遺伝子改変ラット)を用いて、①正常肺および肺高血圧における肺血管内皮細胞および血管平滑筋細胞におけるATOH8の局在・発現量変化を明らかにし、②ATOH8刺激による、肺高血圧血管病変の抑制効果、抗炎症効果について、④NO-cGMP系腑活、炎症性サイトカイン・プロテアーゼ・BMPシグナル経路の関与を明らかにすることである。本年度は、Sugen/hypoxia肺高血圧モデルについて検討した。SUGEN5416皮下注後慢性低酸素暴露3週→空気下飼育で、肺血管の内膜増殖が発生するSugen/hypoxia肺高血圧モデルを作成した。対照群に比し、Sugen/hypoxiaでは、右心室収縮期圧が高く(100mmHg vs. 20mmHg), 心拍出量、大動脈圧に差を認めず、右心室肥大を認めた。肺組織でのATOH8の発現を、ホモゲナイズした全肺組織に対するPCRで検討したところ、対照群とSugen/hypoxia肺高血圧ラットで有意な差を認めなかった。肺高血圧では、ATOH8の発現が低下していると予測したが、Sugen/hypoxia肺高血圧ラットでは、mRNAレベルでの低下は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題では、4つの実験的肺高血圧ラットモデル(慢性低酸素肺高血圧ラット、炎症性肺高血圧モデルであるモノクロタリン肺高血圧ラット、内膜増殖モデルであるSugen/hypoxiaラットおよびBMP2R遺伝子改変ラット)を用いる予定であったが、本年度は、Sugen/hypoxia肺高血圧モデルについて検討した。SUGEN5416皮下注後慢性低酸素暴露3週→空気下飼育で、肺血管の内膜増殖が発生するSugen/hypoxia肺高血圧モデルを作成できた点は、計画通りだが、その他のモデルでの検討がまだなので、やや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、モノクロタリン肺高血圧モデルを作成し、肺組織でのATOH8の発現を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬の有効活用のため、現存していた試薬を用いることができ、本年度に追加で購入する必要がなくなったため。および、コロナ感染蔓延のため学会発表の機会がなかったため。 (使用計画)モノクロタリン肺高血圧ラットでの解析のための試薬を購入する。
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