研究実績の概要 |
2023年度はFS (18例)(ComlexFS 12例、SimpleFS 9例)、AESD(5例)を対象とし、昨年までに明らかな変化が見られた炎症性・抗炎症性サイトカインであるIL-1β,IL-8, MIP-1a,MIP-1b, IL-1Ra, IL-10, PDGF-BBの発症後時間別、けいれん持続時間別の検討を行った。測定はHuman Luminex Discovery Assay(R&D Systems社製)を用いた。症例数が少なく、各診断間での測定値の有意差は認めなかった。炎症性サイトカインMIP-1a, IL-8は熱性けいれん後上昇していき、またけいれん時間が長いほどMIP-1a, IL-8の上昇が見られたが、I L-1Raはいずれとも相関しなかった。IL-1Raは発症直後(けいれん2時間以内)からAESD, CFSではSFSより著しく高値であった(AESD/CFS, SFS = 24247.7, 6095.19 p=0.003 )。既報の結果を踏まえると、炎症性サイトカインはけいれんの長さと関連し、けいれん後に上昇するが、CFSの重症例とAESDではけいれん発症前からSFSに比べて炎症が強くIL-1Raが発症時にはすでに上昇していることが示唆された。 脳波については、救急外来(ED)での簡易EEGの周波数解析を含む詳細な解析を56例を対象に行った。診断を熱性発作(FS)、急性脳症/脳炎(AE/AES)、てんかん、発熱を伴うてんかんに分類し、周波数解析はMATLABを使用し、投薬前のFSとAE/AESで代表される10秒×10のエポックを前頭部と後頭部に分けて解析した。FSとAE/AESで律動的デルタ活動が多く、てんかんと発熱を伴うてんかんでは棘徐波が多かった。FSの約25%のみに律動的シータ活動を認め、周波数解析ではFSで前頭部のシータ活動のパワーが強かった。
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