研究課題/領域番号 |
21K09058
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
梅井 菜央 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (60763068)
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研究分担者 |
石川 真士 日本医科大学, 医学部, 准教授 (30714745)
間瀬 大司 日本医科大学, 医学部, 講師 (60614831)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ECMO / コーティング / 人工肺 |
研究実績の概要 |
近年、COVID-19による重症肺炎で体外式膜型人工肺 (Extracorporeal membrane oxygenation: ECMO) の需要が高まっている。しかし、ECMO施行中は、抗凝固薬が必須であり、それに伴う出血の合併症が多い。本研究は、人工肺表面のコーティングと凝固第XII因子阻害薬を併用することで、出血を起こさない新たな抗凝固戦略を確立することを目的とする。この新たな戦略により凝固第XII阻害薬の臨床応用への道を広げ、ECMOを要する患者の合併症の軽減かつ生存率の向上が期待できる。 2023年度は、抗凝固薬は投与せずにコーティングを施した模擬人工肺と施していない模擬人工肺を用いてECMOを導入し、未分画ヘパリンとFXII阻害薬を投与してECMOを導入することであった。まず、未分画ヘパリンとFXII阻害薬を投与して、コーティングを施していない人工肺を用いてECMOを導入した。FXII阻害薬は、当初ECMOの導入3日前に、3mg/kgの凝固第XII因子標的siRNAを脂質ナノ粒子と混ぜ尾静脈から投与する予定であったが、投与翌日に効果があるため、投与24時間後にECMOを導入した。また、凝固第XII因子標的siRNAの副作用が出現したため、投与量は2.5mg/kgに減量し、ECMOの維持期間は3時間に短縮して行った。ヘパリン群に比較するとFXII阻害薬群の出血量は有意に短縮し、人工肺血栓量は有意差がみられなかった。FXII阻害薬の投与時期と量の調整に時間を要したため、抗凝固薬を投与せずにコーテイングを施した人工肺と施していない人工肺を用いてECMOを導入することはまだできていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で使用するsiRNA-LNPsの副作用がラットにおこり、投与量の調節とECMOを維持する時間の調節に時間を要したため、2022年度に行う予定であった研究がまだ未実施である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、抗凝固薬は投与せずにコーティングを施した模擬人工肺と施していない模擬人工肺を用いてECMOを導入する。さらに、FXII阻害を投与しコーティングを施した模擬人工肺を用いてECMOを導入する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は凝固第XII因子標的siRNAを脂質ナノ粒子とまぜて抗凝固薬を作成しラットに投与しECMOを導入した。凝固第XII因子標的siRNAが当初予定していた量では副作用が出現したため量を減量した。その影響で脂質ナノ粒子の量も減ったため次年度使用額が生じた。次年度は、コーティングの費用・ラットの購入、脂質の購入、解析に必要な試薬の購入に助成金を使用する予定である。
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