研究課題/領域番号 |
21K09084
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
市場 晋吾 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (30284102)
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研究分担者 |
野村 岳志 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (10243445)
林 陽一 明治大学, 理工学部, 専任教授 (20189666)
新浪 博 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (30241079)
佐藤 暢夫 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80439869)
清野 雄介 東京女子医科大学, 医学部, 准講師 (90366352)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 人工知能 / 心臓血管外科手術 / 術後合併症 / アルゴリズム |
研究実績の概要 |
心臓外科術後管理では肺合併症が重要であり、予後の改善、治療成績の向上に繋がる可能性がある。本研究は周術期データから肺合併症予測を行うために人工知能のアルゴリズム作成し、肺合併症の正診率などを評価する。術前の要因には遺伝学的な要素、年齢、肺疾患の家族歴、喫煙、既往・併存疾患などが関連していると考えられる。周術期の要因には、胸骨縦切開、および内胸動脈採取などの外科的処置、術中の肺虚脱の影響、全身麻酔の影響、人工心肺に伴う全身性炎症などが関連している。そして術後の要因としては、特に感染とICUにおける看護師の役割が重要と考えられる。心臓手術後の肺合併症には、肺炎、肺水腫、心原性肺水腫、急性呼吸窮迫症候群、肺塞栓症、創部感染症などがある。これらの肺合併症の発生には、上記のように術前、周術期、術後の様々な要因が関連しているが、予測できる肺合併症を防ぐことにより、あるいは早めに対処することにより、ICUからの早期退出が可能になり、治療成績の向上や、医療費の抑制につながる。心臓血管外科手術に関連して、個々の患者ごとに、多数の因子が複雑に関連しており、単純な解析方法では、肺合併症の予測は不可能である。本研究ではホワイトボックスAIを用いて心臓血管外科手術の術後肺合併症のリスク予測のアルゴリズムを作成を作成し、心臓血管外科手術後患者における肺合併症予測の正診率などを評価することを目的とする。 過去2年間の成人心臓外科手術症例術後患者のデータベースを作成するため、術前、術中、術直後の血液検査および血液ガスデータ、手術時間、心機能、年齢、性別、喫煙歴、既往疾患等について後方視的にデータを収集するためのデータベース作成および研究体制を整備した。 まずは、後方視的に臨床のデータ収集するための侵襲も介入も行わない観察研究としての倫理審査に申請し承認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
心臓血管外科術後患者一人の臨床データは相当数あり、その中から、必要と考えられるデータ項目を選択し、データベースを作成するのに時間がかかった。また、倫理審査申請して審議と修正を繰り返したため、予定の進捗状況からやや遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
File Maker Proを用いてデータベースを完成させ、実際の患者データを入力する作業を行う。目標は200症例である。 この200症例の収集したデータ解析から得られた知見をもとに明治大学理工学部にて得られた予測因子について考察し、「人工知能ルール抽出技術」を用いて心臓手術後の重症呼吸不全合併に対する周術期管理データを用いたリスク予測ルールを作成する。得られたルールを心臓手術後の重症呼吸不全データに適用し予測因子を解析し、得られた知見を学会発表および論文投稿を行う。 また、後方視的に導き出したアルゴリズムを用いて、前方視的研究として、アルゴリズムの実際の正確性に関する評価を行なっていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度の予定であった、データ選択およびデータベース作成、倫理委員会での倫理審査のプロセスが予定よりも遅れたため、購入予定であったデータ解析ソフトウェア等の購入を、翌年度に延期することにしたため。
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