研究課題/領域番号 |
21K09089
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研究機関 | 天理医療大学 |
研究代表者 |
松本 智子 天理医療大学, 医療学部, 准教授 (80642678)
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研究分担者 |
野上 恵嗣 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50326328)
下村 大樹 天理医療大学, 医療学部, 特別研究員 (70723302)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 凝固線溶機能評価 / 血友病A / 波形解析 |
研究実績の概要 |
救命救急分野で、患者の凝固および線溶機能評価は重要である。近年、APTTによる凝固波形解析(CWA)と、それを改変した凝固線溶波形解析(CFWA)が確立された。CFWAは自動凝固分析装置を用いて実施でき、APTTを測定するCaCl2添加時に組織プラスミノーゲンアクチベータを微量添加することで、凝固からおこるフィブリン溶解反応をリアルタイムに観察できる。また、パラメータによる定量的解析が可能である。 我々は、凝固波形解析(CWA)の一次微分曲線から、2種類のAPTT試薬を用いて一次微分曲線と凝固因子活性の関係を調べたところ、自動凝固分析装置のCWAで得られた補正最大凝固速度のAd_|min1|は、2試薬いずれもVIII,IX因子活性1%未満検体の約9割を捉えることができた。しかし、試薬特性が異なるため、試薬毎のCut off値設定が必要であることを報告した。我々は、Fibrinogen(Fib)によるCFWAへの影響は明らかでないため、血友病A血漿にFibを添加することで、凝固・線溶能におけるFibの影響について検証した。Fib量が増加したFVIII低濃度域の血友病A症例では、フィブリン溶解の上昇による線溶が早まることを明らかにした。一方、凝固線溶波形におけるフィブリン溶解能の解析について、装置外で各反応時間のサンプルを作成し、Immuno blotを用いてFDPの各分画を解析した。出血症状の重篤な血友病血漿では、早期の段階よりDD分画が出現した。これは凝固反応とフィブリン溶解反応が同時に起こっているためと考えられた。CFWAで血友病AのFVIII低下による凝固機能の低下のみならず線溶の早期開始による出血症状を反映していると考えられた。 我々は、CWAやCFWAを活用し、迅速で汎用性の高い凝固線溶機能評価方法を広めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は本研究を順調に進めることができた。 2021年度は遅れていたが、遅れを取り戻すことができた。 CFWAの意義の解明について、Immunoblot法を確立することができたことが進捗を改善した功績だと思う。 なお、他の実験や論文をまとめることについて、当初の予想より遅れることがあった場合には、研究分担者と相談し、研究の方向性について確認する。
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今後の研究の推進方策 |
凝固線溶波形解析(CFWA)について、凝固・線溶マーカーやImmunoblotを用いたFDP分画の解析による波形の意義について、論文化を目指す。 CWAとCFWAの汎用性の向上を目指し、CWAの精度の高い鑑別方法について、解析する。 CFWAにおいて、さらに生体内凝固線溶反応の再現を目指すため、組織因子(TF)存在下においての評価について検討する。 今後さらにCWAやCFWAを広く検査室
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は研究の進捗が遅れたため、使用金額が予定より、減少した。今年度はさらに活発に研究を実施し、論文化を目指す。Immunoblotの実施を増やし研究データを重ねてとりたい。研究の遅れを取り戻したい。
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